「軍艦島は崩壊の危機に瀕している。支えがなくなったら…」元島民が語る閉山50年の端島の現状と島のこれから
「閉山で俺の故郷はなくなった」そして今、描くこれからの島のカタチ
1974年の閉山により、木下さんは11歳で島を離れることになった。「島を出て閉山を迎えた時には、島がなくなるんだ、もう俺の故郷はなくなったなという風にずっと思っていた」と、当時の心境を語る。リタイア後、「島のことなら語れる」と思い立ち、2015年からナビゲーターとして島の歴史を語り始めた。「今後も端島がどれだけ良い島だったかを、伝えていきたい。負の部分もありますけど、それを上回るほどの良い島だったということをしっかりと伝えていきたい」 閉山から50年が経過した軍艦島。2015年7月に明治日本の産業革命遺産のひとつとして世界遺産登録され、見学エリア近くでは補修や建物の補強など処置がされているが、多くの建物は風雨にさらされ日を追うごとに劣化が進み、建物の崩壊や侵食は、絶海の孤島である端島には避けられない状況だ。 それでも木下さんはかけがえのない時間を過ごした学び舎について「学校は上陸ツアーなどで島に近づいた時や最初に見える建物。私達が勉強した学校ですから、学校だけは何とか残してほしい」と元島民としての切実な思いも漏らした。 かつてのにぎわいを失った軍艦島。しかし、木下さんのような元島民の記憶の中では、今も活気に満ちた島として生き続けている。その記憶を後世に伝え、島の存続を見守り続けることが、木下さんたち元島民の新たな使命となっているのかもしれない。 軍艦島デジタルミュージアム(長崎県長崎市松が枝町5-6)tel.095-895-5000 営業時間:9:00 ~ 17:00(最終入館16:30) / 休館日:不定休 (テレビ長崎)
テレビ長崎