小山卓治が語る新作、ジャーナリズム的視点含む楽曲も収録したベストアルバム
脇役として登場してくれた人たちの将来もやっぱり考えます
PrimaとNoir / 小山卓治 田家:バイオリンですね。 小山:このバイオリンは女性なんですけど、もうここ十何年ほどずっと一緒にやっているバイオリニストですね。 田家:ベチコさん? 小山:ベチコですね。 田家:どういうイメージでお作りになっていたんですか? 小山:1985年くらいに「Midnight Primadonna」という曲を作ったんですけども、その曲がわりと白いコットンのワンピースを着た少女みたいなイメージのキャラクターを登場させたんですけど、どこか日本にありがちな少女神話みたいな永遠の憧れみたいなところがあったと思うんですよ。いつからかその曲の続編を作りたいなと思っていたんですね。そのままのイメージだとなんか嫌だなというのがあって。 田家:あの歌の中の主人公はみたいなものは考えたりするんですね。 小山:そうですね。僕自身を投影した主人公の男もそれなりに歳を重ねていくわけですから、いろいろ脇役として登場してくれた人たちの将来と言うのか、その後のこともやっぱり考えますね。 田家:『Well2』とこの曲を聴き比べながら40年近い時間というのをあらためて思いに馳せるのがいいのではないかと思いますが……。 FILM GIRL / 小山卓治 田家:流れているのは35周年ベスト・アルバム『Well』の1曲目「FILM GIRL」、1983年のデビュー・シングルでした。1stアルバム『NG』にも入っておりました。 小山:これは熊本から出てくるときに作った4曲入りのカセットテープのデモテープの中に入っていた1曲なんですね。この曲を聴いた当時のプロダクションの社長が気に入ってくれて、この1曲だけでデビューすることが決まったという曲ですね。 田家:小山さんに以前お話をしたこともあるんですけども、小山さんが日本青年館のコンサートをおやりになったときに僕は2階で観ていたんですけど、一番後ろの通路で「FILM GIRL」で尾崎豊さんが踊ってた(笑)。 小山:はははは! 聞いたことあります(笑)。 田家:やっぱりとてもそばに居た存在という感覚はおありになったんでしょう? 小山:そうですね。彼は半年後に同じCBSのレコードからデビューして、すぐカリスマになってしまいましたからね。そのジレンマとかいろいろなものがきっとあったんじゃないかなと想像します。 田家:80年代後半のあの時期に同じようなところで戦ったみたいな意識はあるんですかね。 小山:それはありますね。ちょっと戦友みたいなところがありました。 田家:そうやってデビューした翌年のアルバム2枚目のアルバム『ひまわり』の中であらためてリスナーの方に知ってほしい曲があるので、それをお届けしようと思います。1984年のアルバム『ひまわり」の中の「煙突のある街」。