「前受け不合格→一念発起で追い上げ」は都市伝説!?1万人追跡調査で判明したお試し受験の真実
● 前受け受験のデメリットは3つ 「時間・感染症・不合格」のリスク 続いて、デメリットも見ていきましょう。 ●デメリット (1)タイトなスケジュールの中、前受け校の対策をしなければならない 前受け受験をすると、少なくとも半日は時間を割く必要があります。前日からホテルに泊まって準備する場合は、1日半かかります。 加えて、過去問を全く見ずに受験するわけにもいかないので、少なからず前受け受験用の勉強に時間を掛けることになります。複数の前受け受験をする場合は、負担が掛け算で増えることに。 塾によっては、「一勝一敗」くらいが理想という方針のところもありますが、入試前に最も大事な「時間」というリソースを使うことを忘れてはいけません。本命校の対策時間が削られてしまうのは事実です。 (2)入試直前に感染症にかかるリスクがある 次に感染症のリスクですが、ホテルを予約しない場合は大人の出勤時間と近い時間帯に公共交通機関を使って移動することになります。試験会場に1000人以上が集うことになる学校もあります。 受験するのであれば、感染症対策は万全で臨みたいもの。また、試験が近づいてきたときに体調が思わしくない場合は、「受験しない」という英断が必要になるかもしれません。 こういった時に子どもに意思を尋ねると「受けたい」と言ってくる可能性が高いので、親が冷静に判断をしたほうが良いでしょう。 (3)不合格の場合には、精神的なダメージが残る 「不合格になってから目の色を変えて勉強し、第一希望に合格した!!」という武勇伝は確かにあるでしょう。塾の合格体験記に掲載されたり、鮮烈なイメージが残るので塾の先生のエピソードトークとして出てくることもあるかと思います。 しかし、私は不合格になった場合は「不安を払拭できずに残念な結果に終わることが多い」と断言します。 かねて塾講師や塾経営の経験から生徒の合否データを閲覧できる立場にあったため、実際にのべ1万件を超える追跡調査をしたことがあります。 もちろん、不合格だったのは、その時点での学力養成が不十分だったということでもあり、メンタル面のせいばかりにはできないとは思いますが、本命校の受験でうまくいかないケースの方が有意に高く見られました。