「成功」は自分に自信持てたらーー16年間歩み続けた新木優子の「今咲く」覚悟
仕事に奔走しない分、中学校では吹奏楽部の部長を務めた。高校ではハンドボール部のマネジャーとして部員を支えた。 高校2年の秋、進路に悩んだ。大学受験をするのか、タレント一本に絞るのか。学業も仕事も続けようと決めた彼女は、大学在学中の4年間で結果を出せなければ、芸能界から身を引こうと思っていた。 「進学を決めた瞬間、この仕事で生きていきたいと思ったんです。両立という選択には、責任が伴う。どちらも中途半端にしてはいけない。信念を持って頑張ろうと決心しました」
新木を変えた大杉漣さんの一言
意識の変革は、行動にも影響を及ぼす。内面を変えようと、幾多の本や映画に触れた。将来を見据えて、英語の習得に励んだ。日本語アカウントが開設される前の2013年からインスタグラムを始め、地道に投稿を続けた。
すると、徐々に結果が出始める。大学3年生の2014年にファッション誌『non-no』の専属モデルとなり、2015年には『ゼクシィ』の8代目CMガールに選ばれた。厳しい競争を勝ち抜き、不合格が続いた日々との決別を果たした。 「悔しい気持ちに対する考え方も変わっていきました。ジェラシーを感じられる相手がいるって、すごく素敵だなって。この仕事への情熱を再確認できるし、どうすれば理想の自分になれるか研究する動機にもなる。逆に、競争相手がいなかったら、どうなるのだろうと怖くなります」 嫉妬を感じない人間など存在しない。その感情を他人への攻撃に回して一時的な優越感を得るのか、自分への肥やしにして成長の糧にするかで人生は変わる。新木優子は明らかに後者だった。
2016年1月公開の映画『風のたより』では、初めて主演の座を射止める。しかし、意気込めば意気込むほど、緊張感は増していく。「間違えてはいけない」という思いが新木の中で芽生えていた。そんな中で新木は撮影中にNGを出してしまい、何度も何度も『ごめんなさい。ごめんなさい』と頭を下げた。祖父役の大杉漣は、新木の生真面目な性格を見抜いたのか、『いいんだよ。人は間違えるものだから』と穏やかに声をかけた。