『おいしい給食』の振り付けは市原隼人さんが全て考案!公開間近の映画『おいしい給食 Road to イカメシ』の秘話と給食愛
〈給食は日本にしかない共生食〉
学校給食をテーマにしたことについて話を聞くと、綾部監督は、「給食を題材にした映画・ドラマを作って早5年になる。給食について学べば学ぶほど、給食の文化やもたらす効果を知り、これほど大事なものはないと思った。給食は人生最初のキャッチボールだ。初めて他人と食べる会食が給食だから。調べてみると、世界中で同じものを自分たちでよそって食べるという文化は、日本しかない。まさに共生食。コミュニケーション力を育み、苦手な食事でも食べられるようになる。『いただきます』というシーンも丁寧に撮影している。この文化は日本人が誇れるものだ」とコメント。 そして「この給食文化を守るためにたくさんの人々が不断の努力をしている。栄養を気にしつつ、食材をどう手に入れて、給食をどう調理して、どう提供するのか。それによって、子どもたちが味覚を鍛えて、コミュニケーションもできて、人格形成ができる。食事はただ身体の栄養だけでなく人間を形成するものだ。給食が子どもたちの人間力を作っている。給食をどうおいしく、楽しく、丁寧に描くのか。これからも追求していきたい」と語った。 岩淵プロデューサーは「知り合いのアメリカの子どもと一緒に『おいしい給食』を見たところ、これはなんだ!僕たちの国にはない!日本の給食を食べてみたい!!と言われた。日本にはこんなにおいしい食材があって、こんなにすばらしい給食が提供されていて、本当に幸せな国だと思った。作品を通じて、日本の給食の楽しさをもっと伝えたい。残食率がなくなり、元気の源になるなど食の大切さが伝わってほしい」と語った。
〈『おいしい給食』シリーズ総決算の作品、これ以上ない愛を込めた〉
最後に、参加している学校給食関係者へのメッセージを尋ねると、綾部監督は、コロナ禍で給食が黙食になったことの問題に触れた。 「オーディションで200人あまりの子どもたちに会うと、9割の子どもは、また元のように机をくっつけてワイワイガヤガヤ食べたいと言っていたが、1割はこのままでいいと言っていた。1人で自分のペースで食べて、誰とも話さず、早々とコミュニケーションをあきらめてしまう。そこに、給食の意義はあるのか。もちろん大人になってから自分の時間を大切にするのは良い。しかし、小中学校の9年間もそれでいいのか」と話した。続けて「なんとかこれを打破できないか、早々にあきらめてほしくない、もっとトライしてほしいという思いで映画に臨み、『おいしい給食』が目指す総決算の作品になっている。全力を尽くし、これ以上ない愛をこめて作った」と熱く語った。 また、「食事と映画は似ている。食事は一人で食べてもおいしいが、皆で食べるともっとおいしい。映画も、一人で見てもいいが、不特定多数の方々と見ると違う面白さがある。特に、給食や食事に携わる皆さんには、微力ながら背中を押させていただけるような作品になっている。ぜひ劇場でご覧いただきたい」と呼びかけた。 岩淵プロデューサーは「この映画は家族みんなで見られる映画になっている。これまで、男女問わず、世代問わずたくさんの方々に見ていただいている。だまされたと思ってぜひ、見てほしい。だましてないので(笑)」と笑いを誘った。
食品産業新聞社