パート先がセルフレジになりましたが、「客に仕事をさせるのか!」など暴言を吐かれることがあります。店長には「我慢して」と言われますが胃が痛いです…耐えるしかありませんか?
お客の要望やクレームについては、真摯(しんし)に対応する必要がありますが、長時間の暴言はいわゆる「カスタマーハラスメント」(カスハラ)の一種であり、我慢すべきものではありません。 カスハラはさまざまな業界で大きな問題になっており、厚生労働省やUAゼンセン(日本最大の産業別労働組合)などで、対応方法についてわかりやすい取りまとめが行われています。本記事ではこれらをもとに、カスハラ対応のポイントを紹介します。
カスタマーハラスメントの深刻な実態
厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」によると、調査対象の20~64歳の男女労働者8000名のうち、過去3年間でカスタマーハラスメント(顧客等からの著しい迷惑行為)を受けた労働者の割合は、図表1のとおり15%です。パワハラ31.4%、セクハラ10.2%と比べてもかなり多く発生しています。 図表1 過去3年間にハラスメントを受けた経験
厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル 迷惑行為の内容は図表2のとおり、「長時間の拘束・同じ内容の繰り返し」「名誉棄損・侮辱・ひどい暴言」などが高い比率になっています。 図表2
厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル UAゼンセンの調査でも、過去2年間で顧客からの迷惑行為被害を受けた人は56.7%、6回以上の被害を受けた人だけで14.1%など 、繰り返し被害に遭っている人が多数います。 迷惑行為のきっかけとして、事業所側の問題よりも、むしろ「顧客の不満のはけ口や嫌がらせ」33%、「顧客の勘違い」15%等、顧客側等顧客側の問題が多くを占めています。迷惑対応に要したのは1時間以内が6割ですが、2日以上かかったものも10%を超えています。 図表3
UAゼンセン 悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査結果 迷惑行為の具体例としては以下のようなものがあげられます。 ・商品が腐っていたとの電話で交換品を持って訪問すると、延々とサービスが悪いといい続け、最後には外見を非難された。 ・感染予防のため、商品の袋詰めをお断りしたら暴言を吐かれた。そのお客さまの来店のつど心臓がドキドキした。 ・レジの接客態度が悪いと胸ぐらを掴まれ引きずられるなど暴力を振るうので警察を呼んだ。