パート先がセルフレジになりましたが、「客に仕事をさせるのか!」など暴言を吐かれることがあります。店長には「我慢して」と言われますが胃が痛いです…耐えるしかありませんか?
カスハラとは何か。どんな影響があるのか
顧客や取引先など(以下、顧客等)からのクレームにも正当なものとカスハラにあたるものがあります。次の基準で判別が可能です。 まず「顧客の言動・要求が妥当かどうか」です。例えば商品に問題がないのに「気に入らないから取り換えろ」といった場合です。 次に、要求の適否にかかわらず、実現の手段・態様が社会通念から外れていれば、カスハラに該当します。購入商品に問題があって交換してほしい、としても、「土下座しろ! バカ!嘘つき野郎!」といった暴言、長時間の叱責(しっせき)は、社会通念から外れます。 現場の人は困惑し就業環境が著しく害されます 。カスハラを何度も経験した従業員は「眠れなくなった」(21.2%)、「通院・服薬した」(8.8%)など、深刻な影響が生じます。 周りの従業員にも勤労意欲の低下をもたらすでしょう 。
カスハラは我慢すべきものではない
カスハラは従業員の就業環境の問題にとどまらず、企業にも顧客等にも大きな影響が生じます 。 企業には、時間の浪費、業務上の支障、従業員の離職、金銭的な損失、ブランドイメージの低下等が生じます。顧客等には、業務遅滞によるサービス低下、利用環境、雰囲気の悪化につながります。企業として真剣に取り組む必要があります。 厚生労働省の指針で は、カスハラについてもパワハラ同様に、会社として次の対応が望ましいと明記しています。 ・相談・対応に必要な体制の整備 ・被害者への配慮のための取組(被害者のメンタルヘルス不調相談対応など) ・カスハラ被害を防止するための取組(マニュアル作成、研修実施など) 会社には従業員に対する安全配慮義務があります(労働契約法第5条)。就業環境に配慮する義務もその内容に含まれます。従業員がカスハラ被害の防止対策や被害に遭ったときの対処を会社に求めるのは当然のことなのです。 店長等の中間管理職には、事を荒立てないように従業員に我慢を強いる人もいるかもしれません。カスハラ対応が会社の義務であることを理解していないのです。 そんなときには、厚生労働省の前記のマニュアル・指針などを示し、カスハラ対応が会社の義務であると訴えてください。 現場管理者が対応しないなら躊躇(ちゅうちょ)せず本部・本社に相談してください。自身の意欲減退、心身不調、さらには直接的な暴力被害にも会いかねない事態です。前記の通り、企業にも顧客等にも大きな影響を及ぼす問題なのです。