香りや味を楽しめ、空間を浄化してくれる、植物の驚くべき能力とは?
香りや味、音や眺め……。五感に働きかけてくれる。
古谷 私、森に行くとすごく体調がよくなるんです。数年前から狭心症の一種にかかってしまい、呼吸がすごく苦しくなる時期もあったんですが、先日仕事で東北地方の山に2週間ほどずっと入っていたら、ここ数年で一番と言っていいほど元気になりました。 中村 私もアロマテラピーの仕事を始めてからほぼ風邪をひいたことがありません。あと、イライラすることもなくなったかな。南フランスの農場に行くと、農家の人たちもすごく生き生きとしていておしゃれ。そうした植物と人間の関係を見ることでも元気をもらえますね。
古谷 森に行くとコルチゾールというストレスホルモンが減るなど、心身にさまざまな効果があるそうですよね。森林セラピーをしている人に聞いたんですが、一度森に入るとその効果が1カ月半続くそうなんです。都会で暮らしてる場合じゃないなと(笑)。 中村 森の中で散歩したりレクリエーションをしたりすることでストレスを緩和する森林療法は、最近は自治体が町おこしの一環として行っているケースもあるみたいです。
古谷 皆さんになるべく森に行ってほしいです! 日本企業は、社用森林を持つといいんじゃないかな。そこにサテライトオフィスをつくるとか。 中村 そこまでできなくても、たとえばある企業では休憩室に植物をたくさん並べて、木の香りの精油を焚いているそうです。それによって仕事の効率も上がったとか。香りって脳に直接届くものなので、植物の香りをかぐのはとてもよい影響があると思います。それと同時に植物を置いたり、森林の音を聴いたりして五感を刺激してあげるといいかもしれませんね。古谷さんがつくっているような飲み物、食べ物も口からダイレクトに植物の力を取り入れられるので、すごくよさそうです。 古谷 フランスでは精油を料理に使うこともあるんですか?
中村 正しい知識を持っている専門家が、ごく少量使うことはあるようです。それから、精油を植物油で希釈してカプセルに入れたものなどが薬局で販売されていることもあります。 古谷 日本でも植物のフレーバーオイルを上手に使っているレストランがあって、私も行ったことがありますがすごくおいしかったです。 中村 眺めたり、音を聴いたり、香りをかいだり、食べたり飲んだり。いろんなアプローチを通じて心身を元気にできるのが、植物のすごいところだなあとあらためて思います。 古谷 私は、そういう植物の力、森林資源を活用していくことで日本の山を守りたいと思っているんです。だから日本の植物をもっといろんなメーカーに使ってもらいたいと思っています。 中村 私も日本のアロマテラピーをもっと海外に発信したいんです。それによって日本の植物の力が注目され、ひいては林業や農業の発展につながれば、こんなにうれしいことはないですね。