【3・11から13年】羽生結弦が東日本大震災へ込めた思いと希望をもらった被災地のアイスショー、大女優・大地真央さんとのコラボで見せた新境地とは
東日本大震災から13年を迎える中、フィギュアスケート男子の五輪2連覇の実績を持つプロスケーター、羽生結弦さんが座長を務めるアイスショー「羽生結弦 notte stellata 2024」が、宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで8~10日に開幕した。プロ転向〝元年シーズン〟から2年連続での開催となった。 仙台で練習中に被災したあの日、羽生さんが避難所へ向かう夜道で見上げた夜空に広がっていたのは、満天の星空だった。その光景に心を救われた当時16歳の少年はやがて五輪2連覇を果たしてスポーツの枠を飛び越えた唯一無二の存在となった。イタリア語で「満天の星」を意味する公演タイトルでスケーター仲間とともに被災地へ舞い降り、祈りと希望への思いを込めた演技を届けた。
「13年間の思いをプログラムに表現」
開場前から会場周辺は数多くの屋台が並び、大勢のファンでにぎわいを見せていた。海外から足を運んだ人たちの姿もあった。屋外テントに設けられたショー関連のグッズショップでは、グッズを紹介する写真の上に次々と「SOLD OUT」のテープが貼られていく。 宮城県や会場がある同県利府町の特産品を扱うブースもあり、店頭にいたスタッフは「羽生さんのファンの方々にたくさんご購入いただいています」と笑みを浮かべた。その隣には羽生さんが被災し、その後に多額の寄付をしているアイスリンク仙台の「アイリンショップ」の出店もあった。 「3・11から12年。幸せなことの中には、たくさんの辛いこと、苦しいことがありました。それでも、多くの方々の支えや応援、声があって、ここまでスケートと共に生きてきました。今度は僕からもいい続けます!「頑張れ!」」2023・3 羽生結弦 羽生さんが昨年、サインとともにしたためたボードが店頭に飾られていた。
今年はあの日から13年が経過した。プロに転向した羽生さんは昨年に続き、故郷・宮城の地でアイスショーの主役を担った。 オープニングではライトが消え、静寂の会場が拍手に包まれる。客席と一体となった演出で場内に「満天の星」が広がったような光景が作り出された。 「3・11を思い返し、この氷の上に立つと、やはり悲しい気持ちや記憶を思い出してしまいます。それでも、ここにいらっしゃる方々は、みんな13年間を必死に頑張ってきた、そして応援してくれてきた方々だと思います。どうか僕たちみんなで今日は皆さんに祈りと応援と祈りと希望と、そして困難に立ち向かう勇気を、それぞれのスケーターがそれぞれのプログラムの中で表現したいと思っています。 この場所に来られなかった方々も、いまはもう会えなくなってしまった方々も、そして、この13年という中で『生』を受けて、一生懸命歩いている子供たちに向けて、僕たちは今日、一生懸命、頑張らせていただきます!」 羽生さんは、6100人の観客を前にこう語りかけ、『notte stellata』が幕を開けた。