日本の「政治とカネの問題」の罰が”甘すぎ”だったウラで、世界とどんどん広がる「経済格差」のヤバすぎる実態
シンガポールで厳罰に処せられた政治家
日本では衆議院選挙のさなかですが、私が住んでいるシンガポールでは、最近日本とのちがいを象徴する珍しい判決が下りました。 【一覧】自民党「落選危機」候補者24人の「実名」はこちら! 前編『「政治とカネ」に優しすぎる国は、経済成長しないことが判明…!シンガポールで汚職政治家に下された「厳罰の中身」と日本との「ヤバすぎるちがい」』で紹介したように、高額の贈答品を受けとった前運輸大臣が、検察の求刑が半年だったにもかかわらず、2倍の懲役刑が下される厳しい内容でした。 毎年のように政治家の金銭スキャンダルが複数報じられ、閣僚辞任もめずらしくない日本とのちがいに正直、驚きました。
甘すぎる日本の「政治とカネ」の大問題
シンガポールは、資源に乏しく65年前の独立時には世界でも最貧困のレベルでしたが、いまやアジアでも最も豊かな国へと昇り詰めました。そのプロセスは、政治がクリーンであることが重要な基盤となってきました。 私自身シンガポールで暮らすようになって10年以上が経過して、こちらで営利法人を経営していますが、シンガポール政府とやり取りする際にデジタル化が進んだ効率性とともにその透明性にもよく感心させられます。 シンガポールでは今年に初代首相で国父とされるリー・クワンユー氏の息子であるリー・シェンロン氏から、50代前半と若く果断なコロナ対策で評価されたローレンス・ウォン氏に首相が交代しました。5年に1度の総選挙を来年に控えて、与党である人民行動党に対する国民の不満を増さないためにもこうした汚職に対して引き続き厳格な姿勢でのぞんでいくでしょう。 くしくも同じタイミングで日本でも裏金問題がきっかけとなって首相が交代し、就任後すぐの解散総選挙が行われますが、とかくうやむやとなりがちな日本の政治家の金銭スキャンダルと異なって、シンガポールではこのように厳しい罰則が適用されました。
日本とシンガポールの「公務員格差」の実態
シンガポールでは上記の腐敗指数でも世界上位と評価されていることからもわかるように、政治家だけではなく、汚職防止行為法により公務員の贈賄や不正な利益の提供についても厳しく取り締まられています。 ただ、やみくもに罰則ばかりを厳しくして待遇を改善しないと国の根幹を担う公務員に優秀な人材がつこうとしません。 実際に、日本では国政の中枢を担当するキャリア官僚への東大卒の志望者数が年々減ってきています。キャリア官僚となった東大卒の割合は、2010年度に約33%と3人に1人を占めていたところをピークに年々減り続けてついに今年は1割を割り込むところまで減っています。 私自身は新卒でマッキンゼーに就職して、その数年後にプライベートエクイティファンドに転職しました。東大時代の同級生のキャリア官僚たちと話していると、新卒時でも2倍近く、昇進後なら4~5倍もの年収差が生じていました。 もちろん、給与差だけが原因ではなく、就職して数年間は下働きばかりで実際に意思決定をくだす場にかかわれないという不満もよく聞きました。 そもそも政治主導で昔よりも官僚が差配できる場面が減っていることも影響しているでしょう。ただ、こうした内容は制度上の問題ですぐには変更できませんが、報酬であれば国民の合意があれば一気に引き上げることも可能です。
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