香港国家安全条例が可決 スパイ防止目的、自由後退
【香港共同】香港立法会(議会)で19日、スパイ活動や国家への反逆の防止を目的とする国家安全条例が全会一致の賛成で可決された。香港政府トップの李家超行政長官は可決後、成立に必要な署名をすると表明。施行日は3月23日。条例は禁止行為の定義があいまいとの指摘があり、香港に進出する日本の企業や団体の活動にも影響が及ぶ恐れがある。言論の自由の後退も懸念される。 条例可決の背景には、国家安全を最優先し、香港の統制強化を目指す中国の習近平指導部の意向がある。高度の自治を認めた「一国二制度」への信頼が揺らいでいる。 李氏は可決後「歴史的な使命をやり遂げた。中国共産党中央の負託と国家の信任に応えることができた」と喜んだ。香港では2020年に中国指導部の主導で香港国家安全維持法(国安法)が施行され、民主派は壊滅的な打撃を受けた。取り締まりの対象になる恐れから条例への反対運動は起きなかった。 同条例は国安法に含まれていない行為を新たに犯罪として規定。国家への反逆や反乱の扇動、国家機密の窃取やスパイ行為などを禁じた。