関電の金品受領問題 第三者委が会見(全文1)工事を発注させ、利益得る構造を維持
金品を受け取ること自体が1つの鎖
但木:さらに加えなければいけないのは、金品をもらうということを、これはもらってはいけないのではないかという人は、非常に、もちろん関西電力の社員の中でもたくさんおりまして、これをなんとかして返そうとする、あるいはそれをずっと保管しているわけですけれども、その人たちにとってそういう金品を受け取ること自体が、言ってみれば森山の1つの鎖といいますか、チェーンみたいなブロックの中に入れられてしまうということで、共犯者の中に入れられて抜けられないという事態を招いていた。これを足かせと、この文の中では呼んでおりますけれども、まさに代々続いた足かせで、その金品を受領した人が先輩に、こういうものが来たんだけどどうしようというときに、代々そういうことがあるんだと。それはおまえが退任するときに返せばいいから、森山さんを怒らすなよ、ということが先輩の忠言でありました。 これが代々つながっていく。そのつながっていったこと自体が、今度はやっぱりそれが世間に公表されれば、関西電力のレピュテーションはついえるということで、森山氏をさらに怒らせたくないという強い動機を生み出していくという、非常にぐるぐる回る構造になっていたように思われます。 また、彼は別面、県の客員人権員でありまして、その関係で、関西電力の原子力部門の幹部の人を対象にした、幹部人権研修というのに、森山氏は主催者のような形で出ておりまして、これが県の幹部、例えば副知事がこの会に出てまいりますので、県とのつながりというのも非常に森山氏の権威を高める1つの要素になっていたということであります。
当時の暗い部分を暴露するんじゃないか
それで、じゃあどうして森山氏との間が30年もの間、続いたのか、どうして切れなかったのかというのは、18ページの図を見ていただけると分かると思うんですけど、非常に大きかったのは原発の運営、あるいは再稼働への影響ということであります。特に福島原発のあとは、再稼働に対して非常に神経質になっておりまして、森山氏を怒らせた場合に、彼が3号機、4号機を造った当時の暗い部分を暴露するんじゃないか。あるいは長い間金品を受領してきたという歴史的事実を公表されて、関西電力のレピュテーションが傷ついて、結局再稼働に対して重大な悪影響を与えるのではないか。あるいは彼は県の幹部を利用して、再稼働の障害をつくるんじゃないか。そういうことをかなり心配して、結局森山氏との関係が切れず、森山氏への金品の拒絶ができないという状態が30年間も続いたということであります。 ただ、これには幾つか大問題がありまして、1つはコンプライアンスを考えるときに、ユーザー目線というのがまったくないと。つまり、これは会社にとってどうかというのは一生懸命考えるんですけど、じゃあその電力を利用して、電気料金を払っているユーザーから見た場合に、自分の行為はどう見えるだろうかということについて、まったく考えていない。それが、この構造を長引かせた1つの原因ではないかというふうに思われます。もともとは透明性のないところからそういう問題が発生して、コンプライアンスの問題になった。しかも、コンプライアンスの問題になって、これはやっぱりまずいなというふうに思って先輩に相談しても、先輩は、いや、おまえも自分でじっと耐えとけというふうに言われるという事態なので、結局解決が長引いてしまった。やっぱりそういう問題は、お互いに出し合って、せめて原子力事業本部できちんと論議すべきであったと思うんですが、1回も論議の対象になっていない。