「スパイダーマンに主役は無理なので女の子と…」約40年前のテレビ放映時につけられた「驚きのタイトル」
1993年にコミックス小売り業者向けのコンベンションで登壇したゲイマンは、複数のカバーといった収集価値の高いコミックスを投資対象として扱う傾向は、17世紀オランダで起きたチューリップの投機バブルと同じで、いつかは弾けると警告した。 「あまりに多くのコミックス専門店がバブルとチューリップを当てにしすぎています」とゲイマンは宣言した。 「私はカッサンドラではないので予言はできませんよ。あんなに素敵な体でも脚でもありませんし……いつの日かバブルは弾け、チューリップは倉庫で枯れて腐ります。コミックスは90年代有数の投資商品だと今度誰かが持ちかけてきたら、お願いします、チューリップの話を教えてやってください」。 業者たちは聞く耳を持たなかったが、ゲイマンの正しさはほどなく証明された。数年のうちにコミックス専門店の3分の2は潰れてしまったのだ。流通網は修羅場と化し、マーベル・コミックスは1996年に破産を申請した。 当時スタン・リーは依然としてマーベルの顔だった。マイティ・ソー、ドクター・ストレンジ、ブラックパンサー、そしてハルクなど、マーベルを代表するキャラクターの多くは、リーがアーティストと共同で創造したものだ。
リーは何百というコミックスの原作も書いていた。しかし吹き出しの台詞だけでなく、実はコミックスの編集後記こそがリーの真骨頂だった。 そしてお手紙のページで彼が書いたファンレターへの返事が、リーとファンたちを固い絆で結びつけた。リーの文章は親しみやすく活気に溢れ、「信じる者よ、前を向いて進め」とか「エクセルシオール!」といったキャッチーな文句が躍っていた。 そして何より、リーは読者を煽てるのが巧かった。自分たちはコミックスという娯楽を理解する洗練された消費者だと思わせた。 ● コミックスにしがみついていても 理解されずやりがいもない 「アメイジング・ファンタジー」の15号で初登場したスパイダーマン(スタン・リー作、スティーヴ・ディッコ画)は、リーの次のような口上で始まった。 「コスチュームを着たヒーローはお好き?ここだけの話、コミックス業界で働いてる人はあいつらのことを『丈の長い下着のキャラクター』と呼んでるんだよ!皆ご存知のように、あいつらヒーローは大勢いすぎて珍しくもない!しかしだ、多分皆はこのスパイダーマンを読んで、こう思うかも……これは一味違う!」