「スパイダーマンに主役は無理なので女の子と…」約40年前のテレビ放映時につけられた「驚きのタイトル」
● X-MEN創刊号の歴史的快挙 818万部超の記録的売上 1991年、マーベルの旗艦とも呼ぶべきミュータントのチーム(「護ると誓った世界から恐れられ憎まれる彼ら!〔feared and hated by a world they have sworn to protect!〕」)を再起動したコミックス「X-MEN」の創刊号が発売され、818万6500部を売り上げた。 この世界記録は今も抜かれていないが、それほどまでにマーベル人気は凄まじかった。800万部以上売れたこの新規創刊号は、クリス・クレアモントがライター〔ストーリー執筆〕ジム・リーがアーティスト〔作画〕として起用された。カバーが5種類あったので、ファンは1冊3ドル95セントのこの本を何冊も買い求め、読んでページが折れたりしないようにビニール袋に入れたまま、投機用に保存した。 「X-MEN」創刊号はコミックスにまつわる熱狂の極端な例だが、それ以外にも大ヒットしたコミックスはたくさんあった。アラン・ムーア(『ウォッチメン』)やフランク・ミラー(『バットマン:イヤーワン』)、アート・スピーゲルマン(『マウス――アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語』)といった、暗く複雑でジャンルを爆発的に拡張したクリエイターたち。彼らを称賛する記事がメジャーな雑誌に掲載された。
コミックスは子どもだけのものではないことを、彼らの作品が証明していた。マイケル・キートンとジャック・ニコルソンが主演し、ティム・バートン監督がポップ・ゴシック様式で描いた1989年の映画『バットマン』は、その年世界で最も稼いだ映画となり、さらに玩具からビーチ・タオル、そしてプリンスによるサントラ・アルバム(『Batman』)に至るまで、無限のタイ・イン商品をファンたちに消費させた。 1991年には、バットマンが初登場した1939年発売のコミックス「ディテクティヴ・コミックス」27号が1冊競売に出され、5万5000ドルで競り落とされた。ニューヨーク・タイムズ紙は競りを扱った記事の見出しに〔ロビンの台詞をパロディして〕「びっくり仰天、記録破り!(Holy Record Breaker!)」と書いた。 「コミックス市場は買いです。これから急成長すると思います」と「ディテクティヴ・コミックス」27号を競り落としたハロルド・D・アンダーソンは語った。 ● ニール・ゲイマンが警告した 「コミックス投資バブルの危機」 小説家ニール・ゲイマンは、テレビ・ドラマ『グッド・オーメンズ』の原作者兼ショーランナー、そして神秘的なコミックス『サンドマン』(DC・ヴァーティゴ刊)の原作者としても知られるが、彼はアンダーソンには同意していない。