日本のサーフィンシーンの礎を築いたパイオニアブランド「MOSS」。このボードは「Zenke」のステッカーが表すように70年代から80年代に活躍したトップサーファー善家誠モデルの当時物ビンテージというこだわり

マツダ戦記｜1983年式 マツダ ファミリア 3ドアハッチバック 1500 XG それまでのファミリアはけっしてコンパクトカーのトップランナーではなかった。 しかし、80年に登場した5代目のBDファミリアは、その様相を一変させた。 街中にファミリアがあふれていた……この表現はけっして大げさではないのだ。 【画像19枚】小物にもこだわって作り上げた完璧な陸サーファースタイル 直線基調のスタイリッシュなデザインは若々しく、FFレイアウトへの変更とワイドなグラスエリアにより室内は広く開放的。 とくに後席のリクライニングやラウンジシートは実用性と快適性を高めた。 加えて、FFらしからぬシャープなハンドリングはシビック以上とも言われ、走行性能面でも大きな進化を果たしたのだった。 マツダにとって革新的かつ意欲的なモデルとなったBDファミリアは、第1回日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したほか、海外でも賞も獲得するなど、高い評価を得た。 それは販売面にもつながり、82年に3回、83年に5回、カローラやサニーを抑えて月販台数で1位を獲得。 月販台数は1万3000台を超えたこともあったほどの大ヒットだったのだ。 また、生産開始からわずか27カ月で生産台数100万台を記録。 それまでの世界最短記録を塗り替えるという快挙も達成した。 この快進撃の原動力となったのがイメージカラーでもあった鮮やかなレッドのXG。 このグレードは電動サンルーフが標準装備された最上級グレードで、若者を中心に売れまくった。 「赤のファミリア」、「赤のXG」は市場から絶大な支持を得たのだった。 この大ヒットが若者のクルマ文化を変え、社会現象までも巻き起こした。 「陸(おか)サーファー」の誕生だ。 陸サーファースタイルの定番は、女子に人気の赤いファミリア 硬派、ツッパリ、リーゼント、クルマはシャコタンが鉄板モテ要素だったそれまでとは一転、80年代に入ると軟派な茶髪、クルマはファッションアイテムへと移り変わった。 その象徴が湘南の海とサーフィン。 一気にブームが到来し、海沿いを走る134号線は若者たちであふれ返った。 サーフボードをルーフに積むのがカッコよく、あこがれのマトとなったのだ。 女の子にモテたい男どもはこの流行を敏感にキャッチ。 サーファーファッションの真似ごとをし始めた。 この頃の鉄板モテグルマとなったのが女の子に人気絶大だった赤いファミリアで、絶対に降ろすことのないサーフボードをルーフにくくり付けるだけでなく、ボルト留めしてしまう輩まで出現。 こんなクルマ&若者は繁華街で女の子をナンパ。 湘南の海よりも、たとえば渋谷の街中のほうが出現率が高く、ついには軽井沢でも目撃されるほど。 それほどまでにファミリア+サーフボードは強力で、社会現象のひとつとなったのだった。 青春時代の陸サーファースタイルをよみがえらせたオーナー BDファミリアはオーナーのの青春時代に現役だったクルマで、当時はFR車に興味があったため乗ることはなかった。 だが、程度のいい個体があれば乗っておきたいと思うようになり、「どうせならバリバリの陸サーファー仕様にして乗ってやろう」と決心。 車体だけでなく当時物のサーフボードやステッカー、小物を探し集め、ここまで作り上げるのに6年を要したそうだ。 「80年代にタイムスリップしたかのようなクルマ。 もうやり残したことはありません」と語るオーナー。 このクルマを見て当時の思い出、湘南の海、渋谷の街角の光景がよみがえる読者も多いだろう。  主要諸元 Specifications 1983年式  マツダ ファミリア 3ドアハッチバック 1500 XG(BD1051) 全長×全幅×全高(㎜) 3955×1630×1375 ホイールベース(㎜) 2365 トレッド前/後(㎜) 1390/1395 車両重量(㎏) 825 エンジン型式 E5型 エンジン種類 直列4気筒SOHC 総排気量(cc) 1490 ボア×ストローク(㎜) 77.0×80.0 圧縮比 9.0:1 最高出力(ps/rpm) 85/5500 最大トルク(㎏-m/rpm) 12.3/3500 変速比 1速3.416/2速1.842/3速1.290/4速0.918/5速0.775/後退3.214 最終減速比 3.850 ステアリング ラック&ピニオン サスペンション ストラット(前後とも) ブレーキ前 / 後 ディスク/リーディング&トレーリング タイヤ 175/70SR13(前後とも) 発売当時価格 108.4万円