マイナー競技が苦境から脱却する方法とは? ソフトテニス王者・船水雄太、先陣を切って遂げる変革
新競技ピックルボール挑戦で、ソフトテニスの魅力と価値を高める
2024年、船水は新たな挑戦を発表した。3年連続「アメリカで最も急成長しているスポーツ」に選出され、競技人口が爆発的に増えているピックルボールのプロリーグ、「メジャーリーグピックルボール(MLP)」のプロ選手を目指し、1月から渡米している。 ソフトテニスで生きていく姿を見せ、その道をつくってきた。その取り組みは当然これからも続けていく。同時に、ソフトテニスの“外側”にいる人にもその魅力を届けていく。ピックルボール挑戦には、その目的もある。 船水がピックルボールで日本人初のプロ選手となれば、その偉業とともに、船水がソフトテニスのプロ選手であること、そしてソフトテニスの技術がピックルボールに有用であることが伝えられるだろう。 また、ピックルボールはラケットスポーツの敷居を下げる役割を担えることから、ピックルボールが日本で広まれば、ソフトテニスを始める人が増えることも期待できる。 船水の新たな挑戦には、ソフトテニス界の未来を思う気持ちがあるのだ。 プロとは何か――? スポーツを取材する筆者は、この命題をよく考える。 辞書を調べれば「あるものごとを生計の手段として行う人」「自分の職業であるとの強い自覚を持って、それに打ち込む人」とある。プロスポーツの世界では「プロは結果が全て」とよくいわれたりする。 だが、この人を見ていると、それが答えではないように思えてくる。先人が整えてくれた道の上を歩んでいるわけでもなければ、競技の結果を自分がやるべき全てだとも考えていない。 常に挑戦を続け、後進のために道を切り開き、自らが道しるべとなる――。 それこそが、真のプロフェッショナルなのではないか。そんなことを思わせてくれる。 <了>
[PROFILE] 船水雄太(ふねみず・ゆうた) 1993年10月7日生まれ、青森県出身。東北高校時代、インターハイ団体個人優勝2冠。早稲田大学時代、インカレで団体戦・ダブルス・シングルス全タイトルを獲得。NTT西日本時代、全日本社会人選手権大会優勝、国体優勝、日本リーグ10連覇。日本代表として世界選手権優勝など国際大会でも活躍。2020年4月にプロ転向。同時にAAS Management 合同会社を設立し、「ソフトテニスで人生を豊かにする」を行動理念としてソフトテニスの普及・発展に寄与する。2024年からソフトテニスとピックルボールの“二刀流”選手として、米国メジャーリーグピックルボール(MLP)入りを目指して渡米。
取材・文=野口学