「WWDJAPAN」がファッション&ビューティ業界の基礎研究セミナーを開催
消費者の目線とマーケット動向は「ユニクロ」が基準に
続いて、グローバルSPAの最新動向を五十君花実副編集長が説明した。カジュアルSPAチェーンの売上高ランキングは、1位が「ザラ(ZARA)」のインデックス(スペイン)、2位がH&Mへネス・アンド・マウリッツ(スウェーデン)、3位が「ユニクロ(UNIQLO)」「ジーユー(GU)」のファーストリテイリング(日本)。ファーストリテイリングは2018年に売上高、利益ともに海外事業が国内事業のそれを上回り、名実ともにグローバル企業となった。「ユニクロ」が海外で売れる要因を「日常着を意味する『Life Wear』のコンセプトが支持を得ている。ヒートテックなどの機能性のある商品も他ブランドにないとして評価が高い」と五十君副編集長は分析する。
国内アパレル市場について「ミドル市場が縮小し、アッパー市場とマスボリューム市場が好調というのが全体の傾向。二極化が加速している」と林芳樹記者は総括する。国内アパレルの市場規模は8~9兆円。ファーストリテイリングのユニクロの国内売上高は約8900億円(2023年度)で、市場の約10%を占めているが、「無数のプレイヤーがいる業界としては異例の事態。アパレル業界に対する消費者の目線は『ユニクロ』が基準になっている。そことどう差別化するかが今のマーケット動向に直結している」という。
変化するビューティ業界の最新動向
続いて、村上編集長と牧田英子副編集長が外資ビューティ業界の最新ビジネス事例を紹介した。ファッション業界の総合ラグジュアリーブランドは「原材料高騰によるレザーグッズなどの高価格化。加えてより強い“憧れ”の醸成を目指してビューティ商材をエントリープライスの商品とするのが最近の傾向」という。
長年に及んで、外資ビューティ企業のトップをけん引しているのがロレアルだ。好調要因は積極的なM&A。22年に日本発の「タカミ(TAKAMI)」、23年にはオーストラリア発の「イソップ(AESOP)」を買収している。ブランドはLVMH傘下の「ディオール(DIOR)」の一強状態が続いている。牧田副編集長によると好調要因は「全方位をカバーする圧倒的な商品力」。価格レンジも秀逸で、リッププライマーは4400円台に抑える一方でスキンケアは数万円台に設定している。