9月24日に伊豆諸島の各地で“津波”観測…地震の原因は「海底火山」? 専門家が解説
手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。9月28日(土)の放送では、東京大学地震研究所助教の三反畑修(さんだんばた・おさむ)さんに、9月24日に伊豆諸島と小笠原諸島に発令された津波注意報について伺いました。
9月24日(火)に発生した鳥島近海を震源とするマグニチュード5.8の地震で、伊豆諸島と小笠原諸島に津波注意報が出され、八丈島・八重根で50cmの津波を観測するなど、伊豆諸島の各地で津波が確認されました。 今回の地震と津波について、鳥島近海の津波のメカニズムに詳しい三反畑助教は「今回の津波は、スミスカルデラという海底火山が原因と見ています。根拠としては、地震の発生した位置がスミスカルデラに近く、地下浅くで発生しているところ。そして、スミスカルデラは過去に5度、マグニチュード5~6に満たない規模の地震でも津波を発生させています。それらの地震・津波の特徴と、今回の地震・津波の特徴が非常に似ていることから、スミスカルデラでの火山活動が津波を引き起こしたのであろうと考えています」と話します。 スミスカルデラは、東京から見て南方に500kmほど、八丈島からは180kmほどの場所の海域にあります。また、カルデラとは火山の構造で知られている窪地の地形ですが、スミスカルデラは直径約8kmでヘコんでいる構造の海底火山です。この火山では地下に溜めこんだマグマの圧力で大きく海底が持ち上がり(隆起し)、津波が発生とすると考えられています。 海底火山が引き起こす津波は世界でも観測されており、「例えば、2022年1月には、トンガで海底火山が爆発的な噴火を起こし、津波を引き起こしています。さらに、2018年にはインドネシアのスンダ海峡にあるアナク・クラカタウ火山の噴火活動が大きな津波を引き起こし、数百人の死者を出す大きな災害が発生しています」と解説します。 最後に、今回のような地震や津波が短期間に再び発生するかどうか尋ねてみると、「スミスカルデラのこうした現象は大体10年周期で発生しています。また、過去に大きめの津波を発生させた地震は、活動後に静音化しています。それらを踏まえると、今回も静音化する可能性が高いのではないかと考えています。しかしながら、ガラパゴス諸島の火山では“(似たような火山隆起現象を発生させた後) 数時間~10時間後に噴火活動に移行する”ということもありましたので、そのような可能性も考慮して備えておく必要があると思います」と話していました。 いざというときのために、特に海の近くにお住いの方は避難行動の確認をしておきましょう。 (TOKYO FM「防災 FRONT LINE」2024年9月28日(土)放送より)