税金は生活のための“会費” 元国税局芸人が教える「嫌でも」支払わなければならない理由
給料からは所得税や住民税が引かれ、ものを一つ買うにも税金がかかる。6月には「定額減税」が実施されたが、一方では国民の代表となるべき政治家による裏金問題が噴出。「税金なんか払いたくない」と思う人がいてもおかしくないかもしれない。 【動画】もしも税金がなかったら…? 本来「税金」は何のために使われ、なぜ支払う必要があるのか。東京国税局に勤めていた芸人・さんきゅう倉田氏が、基礎から税金について解説する。 ※この記事は、さんきゅう倉田氏の著作『元国税局芸人が教える わかる、得する!超やさしい税金の教科書』(学研)より一部抜粋・再構成しています。
みんなが使うものはみんなで負担する
税金を納めることは、勤労・教育とともに国民の三大義務の一つです。 日本国憲法第30条にも、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」と記されています。では、そもそも税金は何のために納めているのかご存知でしょうか。 それは、税金が私たちの暮らしを支える財源となっているからです。 国や地方自治体が国民や住民のみなさんに必要な公的サービスや公共施設を提供するためには、資金が必要です。たとえば、公園や一般の道路、交番、小学校などの施設は、無料または少額で利用できます。 こうしたところに税金が使われることによって、私たちは健康で文化的な生活を送ることができるわけです。 もし税金がなければどうなるでしょう。 救急車を利用するために高額な料金がかかる、ごみを収集してもらうたびに料金を請求される、教育費が高額になる、医療費が全額自己負担になるなど、暮らしていくのが困難な世の中になってしまうでしょう。 ふだんはあまり意識していませんが、私たちは税金の恩恵を受けています。税金が「生活していくための会費」といわれるのはそのためです。
税金は「景気調整」や「経済政策の推進」にも役立っている
税金には、その他いろいろな役割があります。 ①富の再分配 税金を支払う能力は、人によって異なります。所得や資産などが多い人、つまり税金を負担する能力の高い人にはより多くの税金を納めてもらい、負担する能力の低い人には税金を少なくしています。これは、国民の間の富の格差を縮め、社会の安定化・公平な社会秩序を維持するためです。 ②景気調整 景気がよいときは所得が増え、それに伴って税収も増加します。逆に、不況になると所得が減り、税収も減少します。つまり、税金は民間の需要を自動的に調節するという景気の調整弁としての役割を担っているのです。 また、景気調節のため、不景気のときは減税、好景気のときは増税という手段がとられることがあります。さらに、景気対策の一環として、減税や設備の増設に特別償却を認めるなど、消費や投資の促進を図ることで景気を刺激する役割も担っています。 ③経済政策の推進 税金には、経済政策の手段としての役割があります。租税特別措置法によって、特別償却や税金免除の税額控除、早期償却などのほか、軽減税率などを取り入れることによる減税措置などによって、経済政策を補充することができます。 ④国内産業の保護 輸出を促進するため、輸出に対して減税したり、輸入を増やした業者に対して税の特典を与えたりするという役割があります。また、外国からの輸入に関税を課すことで、海外産業から国内産業を保護する役割もあります。 どうですか! 税金ってとても重要なものだと思いませんか。それなのに、「できるなら税金は納めたくない」と思ってしまう人が多いのは、どうしてなのでしょうか。