関西の週末アート3選、大阪人も共感の「あるある展示」etc.
■ ガンダム、ヤマト…多彩な安彦良和氏の回顧展
アムロ・レイやシャア・アズナブルなど・・・不朽の名作『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイナーで同作のアニメーションディレクターとしても知られ、マンガ家としても活躍する安彦良和(やすひこよしかず)氏の大規模回顧展『描く人、安彦良和』が「兵庫県立美術館」(神戸市中央区)で開催中だ。 同展担当の学芸員が「あまりにも多才。これを観たら、大抵の絵描きは泣くんじゃないかと思うほどの画力」と力説するほど、全6章構成で約1400点という圧倒的なボリュームの作品や資料から、まさに「描く人」として、77歳になる現在までの超人的な仕事ぶりを通覧できる同展。 その卓越した画力を示す伝説的な逸話がガンダム以前に携わった『宇宙戦艦ヤマト』で残っている。テレビ版の成功を受けて制作された劇場版第2弾『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』の主人公・古代進が恋人・森雪の亡骸を抱きかかえる静かなラストシーンでは、当初、絵コンテで参加していたものの、このシーンの複雑な心情表現が難しすぎて誰も描けないと、急きょ原画も担当することになったのだ。 安彦氏は北海道遠軽町出身であることから、開拓時代の北海道を舞台にした作品『王道の狗』も。同作は、自由党の壮士で網走監獄を脱獄した主人公2人とアイヌ人の女性・タキの恋愛を軸に描かれているが、勝海舟や陸奥宗光といった実在の偉人も次々登場する。同展は、マンガの原稿なども展示することで、安彦氏の創作活動の全貌に迫る初の試みでもある。 「兵庫県立美術館」にて9月1日までの開催。料金は一般1900円ほか。