亡き母が愛したピアノの音を残したい 富山県高岡市の岡本さん、演奏家招きCD収録
高岡市小泉新のジャズ演奏家、岡本勝之さんは、昨年末に95歳で永眠した母、れいさんが愛用したピアノを多くの人に弾いてもらおうと、射水市放生津町(新湊)のカフェバー「NEO SOUL」でライブに活用してもらっている。思いの詰まったピアノの音を残したいと、フィンランド在住のジャズピアニスト、ウラジミール・シャフラノフさんを招き、9日、レコーディングを行った。 れいさんは戦時中、16歳の時から代用教員として小学校で働き、富山大空襲では家を失った。教員を退職後、独学で音楽教室の講師の資格を取得。36歳の時にピアノを手に入れ、自宅などで多くの生徒を教えた。晩年も合唱サークルを指導するなど音楽と共に生きた。ピアノは、亡くなる前年に入院するまで毎日、弾いていた。岡本さんは母の音楽への強い思いを引き継ぎ、還暦を迎えたピアノをライブで役立ててもらうとともに、CD収録を思い立った。 レコーディングは、公演のため来日中のシャフラノフさんに依頼。自身はベースを担当し、ドラム奏者の鎌倉規匠さん(東京)を加えた3人で、「NEO SOUL」で臨んだ。母の好きだったメンデルスゾーンの「歌の翼に」を岡本さんがジャズ風にアレンジした曲などを演奏した。
11年前から岡本さんと交流があるシャフラノフさんは「長年の友人の重要なプロジェクトだから駆け付けた。ピアノの音は美しい」と話す。 CDは10曲ほどを収め、来年1月にリリースする予定。岡本さんは「母のピアノの音がいろいろな人に届き、心に残るよう願っている」と語った。