3月3日はひな祭り 「桃の花」「菱餅」「ひなあられ」の意味とは?
貝型の形に作った餅の真ん中をくぼませ、餡やきんとんをのせた菓子で、もっぱら蓬餅で作ることが多いのですが、最近は三色の菱餅を意識して緑、赤、白の餅で作ることもあるようです。 女の子の祝いとなったひな祭りでは、お内裏さまとおひなさまの婚礼を表すひな人形が飾られます。健やかに成長し、やがて良い伴侶と出会って幸せになりますように、との願いが込められた飾りですが、これに対応して、対の貝殻でなければ決して合わない蛤は貞操を表すとされ、ひな祭りの膳に欠かせないものになりました。蛤の潮汁は定番ですね。 良縁や夫婦和合を象徴する蛤を使って、同じ形、装飾の貝を探す遊びを「貝合わせ」といいます。当初は絵の描かれた貝の内側を見せて同じ柄の貝を探しましたが、江戸時代になると貝殻を伏せて、かるたのように貝の形や模様から対の貝を探す遊びになりました。貝合わせを入れる貝桶は、江戸時代の輿入れ道具の代表格です。婚礼を再現したひな飾りにも貝桶が添えられているのが一般的です。 ひな祭りと一口にいっても、古代から現代まで、多角的に要素が取り入れられてきたことがわかります。しかし、全ての根底には、穢れなく健康で過ごせますようにといった祈りがあります。華やかなひな祭りは、祈りの一形態ともいえるのです。 (福徳神社<東京・日本橋>宮司 真木千明) 著者プロフィール 真木千明(まきちあき) 昭和29年、福岡県生まれ。福徳神社(東京・日本橋)宮司。國學院大學卒業後、日枝神社、水天宮(東京)を経て現職。真木家は代々、福岡県久留米市鎮座の水天宮の宮司を務める社家の生まれで、幕末の志士・真木和泉守保臣の直系子孫。著書に『ご縁で生きる~ひとりでがんばらない処方箋』(小学館)がある。