“一番”苦しかったことは10年間で一度もない――コツコツ継続することで成長し続けるECMJ石田氏が語るEC業界と自身の10年
石田氏:「コツコツ続ける」が、ECMJのコンサルのテーマであり、イコール僕自身のテーマでもあって。最も重要なのはやはり「続ける」ことなんですよね。
苦労の連続で鍛えられたメンタルテクニック
――10年間で一番大変だったこと・苦しかったことがあったのは、2013年頃でしょうか。 石田氏:そうですね。僕は考え込みやすい性格で、実はネガティブな悩みや「こうなったらどうしよう」という不安が比較的多いタイプなんです。だから、当時はクライアントとの打ち合わせに行く度に「失敗したらどうしよう」「『コンサルは今年で終了』と言われたら売り上げが減る」などと考えがちでした。最近でこそ「大変で苦しいことばかりだ、辛い、不安だ、大丈夫かな」と思うのは止めるようにしていますが。 今回「大変だったこと・苦しかったことは何か」という質問をもらった時、考え込みやすいから苦しかったと感じたことが多かったのかな、と最初思ったのですが、じゃあ「10年間で“一番”大変だったことは何か」と改めて考えたら、何も思い浮かばなかった。そのとき、「自分には本当に大変だったことはなかった」ことに気付いたんです。 10年前に金銭面で苦しかったことがあるくらいで、よく考えてみるとそれ以外に大きな出来事はなかったのです。だから、当時自分が考えたり悩んだりしていたことは “まやかし”だと気付きました。 ――大変だったと感じていたけれども、振り返ると“一番”大変だったことはなかった。 石田氏:ECMJは僕と2人の役員でスタートしたのですが、2016年に2人とも亡くなってしまいました。しかも半年くらいの間に。ただ、これは悲しい出来事だけれど大変・苦しいとは違う。 個々の案件や場面で本当にキツくて断ろうと思ったこともあるし、クライアントに謝罪すること、怒鳴られたこと、意図が上手く伝わらなかったことなど苦しいこともありました。けれど、後から考えるとそこまででもないなと。 比較的有名な話で「人は毎日6万以上のことを考えて、その内95%は昨日と同じことを考えている」「心配事の9割は起こらない」という言葉があって。日々の不安や悩みのようなネガティブなことが頭に浮かんだら、「それは昨日も考えていたことだし、ネガティブになるから止めよう」と横に押し出すということを始めました。面白いもので、やり始めたらそう考える習慣が身につき始めたんですよね。 ――石田さんは物事をきちんと整理して、あまりネガティブな考えをしない印象があったので、意外でした。 石田氏:パートナーや外部役員はいますが、会社をほぼ1人で経営しています。やはり自分だけで仕事をしているとネガティブになりやすい。だから1人で仕事をする時の一番のポイントは、いかに気持ちを整理していくか。2024年10月で14期目を迎えますが、やっとそういったスキルを身につけられました。 僕は天才でもないですし、ずば抜けて得意なことがあるわけでもない一般人です。「人ができるけれど、やらないこと」をひたすら続けるしかない。そうしないと生き残れないからです。