《電気料金高騰に克つ》光熱費を抑えつつ、自分で自分の体を温める「自家発電」のポイント 室内でも室外でも頭寒足熱を意識、夕食メニューにも工夫【医師や実践者が解説】
「寒いけど、暖房器具の使用は控えて少しでも光熱費を抑えたい」──寒さが本格化し、光熱費がかさむシーズンに突入した。かといって、光熱費をケチりすぎて体調を悪化させたら元も子もない。イシハラクリニック副院長の石原新菜さんが言う。 【写真】電気代0円で暮らす染織作家のフジイチカコさんが作った「ソーラークッカー」 太陽光を反射板などで一点に集めて食材を温める
「寒さや冷えからくる不調は多く、寒さをがまんしすぎるのは禁物です。そこで、冬は毎日コツコツと自分で自分の体を温める『自家発電』が大事になります。光熱費等を抑えられるので家計にもやさしく、ダイエットや健康にもいいのです」 自家発電といっても、必ずしも電気を生み出す必要はない。冷え込む朝、起きてすぐに行うべきはストレッチ。石原さんが言う。 「布団の中で両手両足をグーッと伸ばすと、体がポカポカしてきます。布団を出たらすぐに靴下かスリッパを履いて、足が冷えないようにしましょう」 カーテンを開けて、太陽の光も浴びよう。 「神経伝達物質のセロトニンが分泌されて、夜の良質な睡眠につながります。いい睡眠は自律神経を整えて、体温を上げる」(石原さん・以下同) 寝起きは白湯からスタートしたい。 「しょうがの粉末やシナモンなどスパイスをちょい足しするといい。朝食にみそ汁を飲むのもおすすめ。代謝が上がり、体温も上がりやすくなります」 着る服は、室内でも室外でも頭寒足熱を心がけよう。 「冬は足先など下半身の血のめぐりが悪くなりやすい。暖かい空気は上に行き、下が冷えやすいので下半身を重点的に温めるのが効率的。下半身はスパッツやレッグウオーマー、ブーツなどで防寒対策をして、上はカーディガンなど脱ぎ着しやすいもので温度調節すると冷えを感じにくくなります」
体温の4割は筋肉が作っている
昼間は活動的に過ごすことで、効率的に体温を上げることができる。アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長の高林孝光さんは「自家発電のポイントは筋肉」と話す。 「人の体には『熱産生』という機能があり、筋肉を動かすことで熱を発生させて体を温めることができます。日中は長く座りすぎないよう体を動かし、筋肉を使いましょう。掃除に雑巾がけを取り入れるなど、工夫するといいです」(高林さん) 空いた時間にはトレーニングやストレッチを取り入れたい。高林さんが紹介するのは「忍者ぷるぷる体操」。 「筋肉を意図的に震わせることで、熱を生み出すことができる。胸の前で両手を合わせ、忍者が呪文を唱えるときのように人差し指を立てます。そのまま両手を目いっぱいの力で押し合い、胸や腕の筋肉がぷるぷると震え始めたら終了です。最初は震えるまで1分ほどかかる人もいますが、続けると震えるまでの時間が短く、発熱しやすくなります」 石原さんも体を動かすことをすすめる。 「体温の約4割は筋肉が作っているので、運動すれば自家発電できる。通勤時間などを活用して1日20分は歩いてほしい。買い物帰りは、荷物が入ったショッピングバッグを上げ下げしてもいい。筋肉の約7割は下半身にあるので、スクワットも効果的。1日30回くらい行ってください」 ガス・水道代を節約し、電気代0円で暮らす染織作家のフジイチカコさんは、エアロバイクを改造した「人力発電機」を使って体を温めているという。 「自転車のようにペダルをこぐので、5分で体がポカポカします。発電もできるので一石二鳥です」 体を動かした後、昼食には何を選ぶといいのか。 「七味やねぎなど薬味が入ったそばや、スパイスたっぷりのカレーは体を温めてくれます」(石原さん)