大学2年生の娘が「空港グランドスタッフとして働きたい」と言っています。客室乗務員の方が給料がよいイメージですが、実際はどうなのでしょうか?
空港グランドスタッフと客室乗務員は、航空業界で接客に携わる職業という点で共通しています。そのため、就職先にどちらを選ぶか悩んでいる人もいるかもしれません。そうした場合は、収入情報を参照することも有効でしょう。 そこで今回は、空港グランドスタッフと客室乗務員の平均月収、平均年間賞与、予測平均年収などについて解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
空港グランドスタッフと客室乗務員の収入差
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によれば、空港グランドスタッフを含む「運輸・郵便事務従事者」と、客室乗務員を意味する「航空機客室乗務員」のうち、従業員数10名以上の企業に勤める労働者の平均月収、平均年間賞与は表1の通りです。 表1
出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」を基に筆者作成 平均月収は「航空機客室乗務員」の方が4万9400円高い一方、平均年間賞与は「運輸・郵便事務従事者」の方が16万3900円高いことが分かります。 また、予測平均年収を「平均月収×12ヶ月+平均年間賞与」とすると、以下になります。 運輸・郵便事務従事者:491万600円 航空機客室乗務員:533万9500円 よって、予測平均年収は航空機客室乗務員の方が42万8900円高いです。 ただし、各平均額は、勤め先の規模などによって変動すると考えられます。とくに、「運輸・郵便事務従事者」には空港グランドスタッフ以外の職種も含まれているためご注意ください。
空港グランドスタッフと客室乗務員の働き方
進路を選ぶうえでは、収入だけでなく、仕事内容の違いを把握することも重要でしょう。ここでは、空港グランドスタッフと客室乗務員の働き方の違いを解説します。 ■空港グランドスタッフはカウンターとゲートでの旅客対応を担う 空港グランドスタッフの仕事は、カウンター業務とゲート業務に大別されます。カウンター業務は、航空券やパスポートの確認、搭乗券の発券のほか、持ち込み物に関する諸手続きなどです。 一方、ゲート業務では、旅客の誘導やトランジットの案内などを担当します。そのため、顧客のさまざまな要望にも対応できる柔軟性、判断力、実行力に加え、親しみやすさなどが必要です。 空港グランドスタッフになる方法には、航空会社に就職して配属されるパターンと、航空会社から業務を委託されている関連会社に入社するパターンの2種類があります。資格や学歴は不要ですが、外国語のスキルや資格があると、選考では有利です。 ■客室乗務員の業務は乗客のサポートと安全確保 おもに空港で働く空港グランドスタッフに対し、客室乗務員は航空機内での業務が中心です。乗客を座席へ案内したり、機内食、毛布の配布をしたりといった乗客サポート、さらには機体の異常の有無を目視でチェックするなど、フライトの安全確認も業務範囲です。 また、緊急事態が発生した際は、乗客を落ちつかせ、ときには脱出を案内するなどの対応も求められるでしょう。 客室乗務員になるには、航空会社などに入社し、訓練を受けて実務に移る形が一般的です。また、経験を積めば、地上勤務の管理職や機内の責任者に昇進できる可能性もあります。資格は不問ですが、短期大学卒業以上の学歴や一定の英語力が求められるほか、会社によっては視力について一定以上の基準などを求められることもあります。