ふるさと納税返礼品でリピーター獲得、注文10倍超えた店も 京都府福知山市
京都府福知山市が昨年度に受けたふるさと納税の寄付総額は2億9783万5100円(前年度比14%減)、寄付件数は1万4866件(同27%減)となった。国のルール厳格化の影響で減らしたが、今年度は寄付の受け付けサイト、返礼品目の拡充で巻き返しを図っている。また返礼品が人気を集め、売り上げが大きく伸びたところもある。 東堀で本格中華を提供する「シノワ・縷縷」(塩見満オーナー)は、一昨年度に協力事業者として参加した。返礼品としての注文件数が一昨年度は15件だったが、2年目の昨年度は160件と、10倍を超えた。 返礼品のメニューは、50年近く中華料理一筋で研さんを積んできた塩見オーナー(67)が調理し、店舗で急速冷凍したもの。冷凍しても出来立てと変わらない風味、食感を追求しており、何度も注文するファンや定期便での利用も増えている。中でも、香味野菜が香るソースにぷりぷりのエビが絡むエビチリは人気が高い。 塩見オーナーは「リピーターがつき、自分の味が認められるのはうれしい。これからも料理にこだわってやっていきたい」と手応えを語る。
■昨年度は国の厳格化で出遅れ 今年度は返礼品拡充で巻き返し
ふるさと納税は2008年度に始まった制度で、市も初年度から活用。近年は19年度から寄付総額、件数とも4年連続で右肩上がりを続け、22年度は寄付総額3億4766万5千円、件数2万584件で、ともに過去最高を記録していた。 昨年度は、ふるさと納税商戦が最も活気づく年末をにらみ、PRを強化しようと返礼品のブラッシュアップ、サイト掲載内容の見直しに取り組んでいたが、返礼品などに関する国のルール厳格化を見越した駆け込み需要が想定よりも早く発生したため、出足が遅れた。 現在は準備が全て整い、ふるさと納税の受け付けは14サイト、返礼品は800品目と、22年度の約2倍になり、協力事業者も約80者から107者に拡充。7、8両月にも三和ぶどうや丹波くりの先行予約、農業用ドローン、クラフトジンなどの品目を追加しており、今後も返礼品を精力的に増やしていく。 こうした取り組みの成果もあって注目度が上がり、今年度の受け付けは過去最高の22年度を超えるペースで進んでいるという。 返礼品全体では、菓子、日用品、肉加工品の順に人気が高く、市は「個性豊かな返礼品の展開などで多くの人に興味を持ってもらい、福知山の事業者、企業、まちの魅力をPRし、福知山ファンの輪と寄付額の拡大をめざしたい」としている。