接戦必至。高本幹也[東京SG]、山沢京平[埼玉WK]の両司令塔が質の高い80分を演出するか
対するワイルドナイツは、過去2シーズンにわたって他チームに譲った覇権を絶対に取り戻したい。 昨年はレギュラーシーズンを全勝としながら決勝で敗れた。一昨年も1位(15勝1敗)でプレーオフに進出、ファイナリストになりながらも頂点に立てなかった。 最後まで勝ち切るために、チームは自分たちにベクトルを向けて準備を進めてきた。
HO堀江翔太を引退、SO松田力也を移籍で失ったチームは、2人以外は陣容に大きな変化がないまま新シーズンを迎える。 在籍している選手たちの力を伸ばすため、プレシーズンには時間をかけてきた。
9月13日の部内戦を皮切りに、プレシーズンマッチは8試合。グローバルラグビーフェスタで対峙したスーパーラグビー、レッズとの対戦(28-42)も含め、多くの選手を使い、チームの底上げを図った。
日本代表をはじめ、各国代表に多くの選手を輩出しているチームは12月7日に全選手が集合。同8日から13日まで宮崎合宿をおこなった。 シーズン開幕直前に実施されるこの期間では、強度の高いメニューに取り組むというより、ミーティングの時間が長く持たれる。自分たちのスタイル、掟をあらためて確認し合うことが今年もおこなわれた。
注目された開幕戦のSOは山沢京平が任された。プレシーズンマッチでも長いプレータイムがあった。 FBの兄・山沢拓也とともに、ダブル司令塔でチームをコントロールするだろう。11番から13番まで、長田智希、ダミアン・デアレンデ、ディラン・ライリーと、日本、南アフリカを代表する選手たちが揃っている。
HOには、怪我で日本代表を離脱していた坂手淳史主将が間に合った。1番の稲垣啓太は、2024年2月4日に戦ったクロスボーダーラグビー、チーフス戦以来の戦列復帰となる。 FW2列、3列は、南アフリカ代表のルード・デヤハー(LO)を欠くものの、全員外国出身選手となり、パワーとスキルのバランスがいい。ベンチスタートの選手たちも、分厚い選手層を感じさせる。
インターナショナルプレーヤーが両チームに多く、駆け引きも楽しみのひとつも、その一方で、サンゴリアスは高本幹也、ワイルドナイツは山沢京平と、若いSOが生み出すモメンタムも楽しみだ。 開幕節から極上の80分が待っている。
田村一博