バイデン政権の経済政策「中間決算」:40年ぶりのインフレまでの「実験」と「後悔」
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12月1日、午前4時。テレビ東京の差し回しのタクシーが自宅に到着したので、イヤーホン付きのiPadを手にしたままで乗り込んだ。インターネット上では、ワシントンにある ブルッキングス研究所主催のセミナー を中継している。12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えて、ジェローム・パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長がどういう発言をするか、この日の最大の関心事となっていた。 早朝のマーケット番組『Newsモーニングサテライト』コメンテーターとしては、午前5時45分に番組が始まる前に聞いておきたいところであった。タクシーがテレビ局に到着する少し前にセミナーは終了していたが、案の定、この間にニューヨーク株価は爆上げしていた。 画面の向こう側のセミナー会場は、なんだか懐かしい感じがした。筆者が客員研究員としてブルッキングス研究所に居たのは、もう30年も前のことである。今では建物は新しくなっており、人もほぼ入れ替わっている。つまり筆者が知る頃とは別世界となっている。さらに言えば、ワシントンにおけるシンクタンクの地位向上もある。昔は知る人ぞ知る存在であったけれども、今では政権交代のたびに脚光を浴びるようになっている。
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吉崎達彦