「(代表選手で)いちばん強い」永瀬貴規の“キャラだけじゃない”柔道界のリアルな評価…素顔は「超努力家」、ウルフアロンに勝った大学時代
持ち味を存分に発揮し、パリ五輪柔道男子81kg級、永瀬貴規は東京五輪に続く連覇を果たした。 【貴重写真】“ロン毛”時代の永瀬貴規、見たことある? ウルフアロンにも勝利した筑波大学時代の貴重写真に、「なぜそこに…」「永瀬すぎる」話題のパリ五輪集合写真も。この記事の写真を見る。 初戦となった2回戦は開始2分もたたないうちに合わせ技一本。3回戦で延長戦の末に勝利をおさめると、準々決勝では世界ランキング1位を相手に延長戦で技あり。準決勝では技あり2つで合わせ技一本勝ちをおさめ、決勝で世界選手権3連覇のタト・グリガラシビリ(ジョージア)を迎える。強敵を相手に1分52秒、2分48秒にともに谷落としで技ありを奪い、一本勝ちで金メダルを手にした。5試合で取られた技ありはゼロ。粘り強く勝機をうかがいながら、安定した戦いをみせた。 「私らしい柔道ができて、それが結果につながりました」 連覇を成し遂げての言葉にも、自身の柔道を存分に表せた充実感があふれていた。
大野将平の証言「永瀬がいちばん強いです」
「たぶん、世界でいちばんこの階級の人口は多いです」と日本代表の鈴木桂治監督が言うように、欧米の選手にとって平均的なサイズということもあり、選手層は厚い。この階級で五輪連覇を果たした選手が今までいなかったことも永瀬の価値を示している。 畳の内外での「寡黙」ともいえる落ち着いたたたずまいやふるまいも話題を集めた永瀬だが、その実力は柔道界ではかねてから定評があった。 東京五輪の代表が決まったあとの2020年、リオデジャネイロ五輪と東京五輪で連覇を果たすことになる73kg級の大野将平は語っている。 「(代表選手の中で)永瀬がいちばん強いです」 階級が上の選手も含めて、そう評価したのだ。永瀬と大野は階級も近く、互いに稽古をすることも珍しくはなかった。永瀬の強さを身をもって知ったうえでの言葉だった。
筑波大学時代にはウルフアロンにも勝利
学生時代から階級を超える強さの片鱗をみせてもいた。筑波大学3年生のとき無差別で行われる全日本選手権に出場。同年の全日本選抜体重別選手権90kg級、100kg級チャンピオンらを倒し、堂々の3位となった。4年生のときには団体戦形式の全日本学生柔道優勝大会決勝の代表戦で100kg級のウルフアロンに勝利、国公立大として初めての優勝に導いている。 代名詞的な決め技を持っているわけではない。だがそれを上回る強さがあった。182cmの身長に比してリーチは189cmと長い。それをいかした間合いの巧みさ、組み手の厳しさを持つ。攻守に隙がない。特に受けは強く、相手をみて柔軟に対応する試合運びにも定評がある。それを「相手の力を吸収してしまうような」と日本代表前監督の井上康生氏は評している。大野に限らず、永瀬に一目置く柔道家は少なくない。 もう1つ永瀬の特徴がある。鈴木監督の言葉を借りる。 「とにかく練習をする、とにかく研究をする、トレーニングもするということで、柔道に関してはまったく妥協しません。『もうやらなくていいよ』『休んだら』っていうぐらいやる選手です」 努力の人であったことが、足跡の中にも見え隠れする。
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