スカウト会議を終え囲み取材に応じる阪神藤川監督（撮影・垰建太）

　「火の玉」の右手で引き当てる！　阪神藤川球児新監督（44）が、24日の「プロ野球ドラフト会議　supported by　リポビタンD」で、初めてくじ引き役の大役を担う。都内のホテルで行われた前日スカウト会議に初参加。阪神は地元兵庫出身の逸材、最大6球団の競合が予想される関大・金丸夢斗投手（4年＝神港橘）の1位指名が有力だ。現役時代に何度も「火の玉ストレート」を投げ込んだ黄金の利き手で、他球団のライバル相手に“直球勝負”を挑む。 　　◇　　　◇　　　◇ 　藤川監督の右手が、また名勝負を生むかもしれない。監督に就任して初のドラフト会議。1位指名競合となれば、大役を担う。「くじを引くことになれば、僕が引きます」。力強く宣言した。 　現役時代に「火の玉」と呼ばれた直球を何度も投げ込んできた右手。「あまり左手で引いたことはないですけど。引くことになれば、自然に。手を入れないわけにはいかないんでね」。ライバルをねじ伏せてきた右手で、今度は運命の相手を引き当てる。 　この日は前日スカウト会議に参加。1位指名については「いくら聞いても多分僕から出てくることはない」と笑顔でけむに巻いた。例年通り他球団の動向を見つつ当日の決定となるが、阪神は最速154キロ左腕、関大・金丸を1位指名することが有力だ。 　地元兵庫出身の逸材について印象を聞かれると「やっぱりいいですよね、当然。他の投手もいいけどね。どの投手もいいんだけどね」と話した。金丸は宿敵の巨人も1位指名が有力だ。2年前は高松商・浅野で競合し、一騎打ちの末に巨人が交渉権を獲得。再び相まみえることになるかもしれない。 　球団はこの日、指名候補選手を約70人にまで絞り込んだ。「特化型なのか総合力なのか。うちにマッチするかというのは当然。うちにマッチする選手はいると思いますけどね、たくさん」。頭の中に金の卵たちを思い浮かべた。「僕らしいかどうか、所信表明みたいになるので、見といてもらえればと思います」。スカウトとともに悩み選んだ選手たちが「藤川阪神」の象徴となる。 　外れ1位候補には、指揮官と同じ高卒投手の前橋商・清水大暉投手（3年）や大商大のスラッガー、渡部聖弥外野手（4年＝広陵）らが挙がるとみられる。今から26年前。自身が指名された当時を思い返した。「いやあ、僕、体育の授業中で全く知らなかった。ひとつの大きなイベントなのでね。僕も他の11球団の監督とお会いするというところもありますから、明日楽しみにしています」。運命の赤い糸を、右手でたぐり寄せる。【磯綾乃】