住宅ローン「変動」「固定」どっちが得?大手銀行も17年ぶり引き上げで家計負担増…物件価格は下がる?
大手銀行各社は、10月からの変動型の住宅ローンの基準金利を引き上げた。既に借り入れをしている人は家計の負担が増える一方、新規で借り入れする人には、事実上、金利を据え置く銀行も。これは、ネット銀行との競争が激化していることが背景にある。そして「金利が上昇すると下がる」と言われている不動産価格だが、首都圏の新規分譲マンションの価格は引き続き上昇傾向だ。 住宅ローンの見通しは?変動型と固定型どっちがお得?物件価格の今後はどのように変化していくのか?
■大手行17年ぶり金利引き上げも 新規客には対応分かれる
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のメガバンク3行は、10月から変動型住宅ローンの基準金利を一斉に0.15%引き上げた。この基準金利の引き上げは17年ぶりで、既存の借り入れをしている人向けには、基準金利を2.625%に設定した。 これは、日銀が7月に政策金利を引き上げたことを受けたもので、多くの家庭で家計の負担が増えることになる。 大手銀行は通常、変動金利の基準金利を半年に一度、4月と10月に見直すことが多く、今回の金利引き上げが返済に適用されるのは来年の1月以降になる。変動型の住宅ローンで実際に適用される金利は基準金利から優遇される幅(優遇幅)を引いたもので決まる。優遇幅が大きければ大きいほど金利がディスカウントされる仕組みだ。しかし、今回、新規で借り入れる人に適用される「最優遇金利」については銀行ごとに戦略が分かれる結果になった。 三菱UFJ銀行は、新規顧客の優遇幅を拡大し、基準金利の上昇分を抑え、実際に適用する最優遇金利を9月と同じ水準に据え置いた。みずほ銀行は10月からの新規顧客に対して基準金利を引き上げず、最優遇金利も変えなかった。 こうして対応が分かれた背景には、ネット銀行の存在が影響している。ネット銀行は、店舗に訪れずにインターネットでローン手続きを行えるなどコストを抑えることで、一般の銀行よりも低い金利を設定し、シェアを拡大。その結果、メガバンクとの競争を激化させた。