大坂なおみも投資する全米熱狂「ピックルボール」の全貌。ソフトテニス王者・船水雄太、日本人初挑戦の意義
「やりたいことがあっても実際に行動する人は少ない」。南氏が船水を支援する理由
「責任を感じたんですよ、自分が言い出しっぺだったので」と南氏は笑う。だが、(あくまで筆者の推測にすぎないが、)本音はうれしかったのではないだろうか。実際、ロサンゼルスで顔を合わせた時の南氏の最初の一言は、「本当に来たんだ!」だったそうだ。「本当に来る人って数少ないよ」とも。 以前、筆者が南氏にインタビューした際、本当にやりたいことがあれば、「すぐに始める行動力」「どのように行動するか考える戦略力」が大事だという話をしてくれたことがある。「やりたいことがあっても、実際にやってみようという人は、100人いて1人いるかどうか」(南氏)。 南氏にも、やりたいことのために“行動”した過去がある。2002年、自国で開催されたFIFAワールドカップでサッカー日本代表の初勝利に心を揺さぶられ、幼少の頃からの夢だったスポーツビジネスの世界に飛び込みたいと考えるようになった。MLBの全球団に「働かせてほしい」と手紙を書き、エージェントに電話をかけまくり、ツテのないまま現地まで飛んだりもした。「皆さん美化してくださるんですが、準備も戦略もないままただ突っ走っただけで、今から振り返れば反省ばかりです」と本人は口にする。確かにこの時は仕事に就くことはかなわなかった。だがその経験は後になって生きることになる。楽天がプロ野球に新規参入すると耳にした南氏は、今度は“戦略的”に行動し、三木谷浩史氏に直談判。東北楽天ゴールデンイーグルスの創業メンバーに抜てきされるに至ったのだった。 船水はまず、すぐに行動に移した。自分の長所をピックルボールにどう生かせるかを考える戦略もある。何より、自分のやりたいことをやり抜く覚悟がある。それを感じたからこそ、南氏は会社をあげて全力でサポートすることを決めたのだろう。
ソフトテニスとの“二刀流”、壮大な挑戦の先に待つ未来へ――
新しい可能性を、次々と。 これは、Visionalが掲げるグループミッションだ。南氏が代表を務めるVisionalグループは、渡米して日本人初のMLP選手を目指す船水の挑戦を全力でバックアップする。 「日本人で初めてのメジャーリーグピックルボールプレーヤーとなって、世界チャンピオンになることを無我夢中で目指していきます。そして、日本人が世界で活躍しているというニュースを日本の皆さん、子どもたちに届けて、希望や勇気を与えられたり、夢を持ってもらえたら非常にうれしいです」(船水) 船水の挑戦は、さまざまな困難を伴うだろう。中には、無謀な挑戦だとか、ソフトテニスに集中した方がいいと考える人もいるかもしれない。 それでも、挑戦することでしか、人の可能性は広がらない。 この挑戦の先に、何が待っているのか。それは誰にも分からない。ただ確かなことが、一つだけある。 船水雄太は、自分の夢に向かい、ただ前だけを見て歩き続ける――。 <了> ※連載中編は2月22日(木)に公開予定