なぜ富裕層ほど子どもの“お金教育”に悩むのか 元メガバンク支店長が教える「解決」と「感動」の対価の重要性とは
――富裕層だけでないかもしれませんね。 そうですね。お金だけ与えられて育った子どもは、どういうときにお金が得られるのか、お金の本質を知らずに育ちます。いくらいい大学を出て一流企業に勤めたとしても、本来学ぶべき「お金の基本」がわかっていないので、社会でつまずいてしまいかねません。 ――どういうときに、どういうふうに、お金がまわっていくのかがわからないから……。 親の責任として、お金の教育を子どもの頃からしっかりすべきだと思います。教えるべきは「解決」と「感動」に対する対価です。誰かの困りごとを見つけ、それを自分の持つリソースでどうすれば解決できるかを考えて行動する。それが「解決」に対する対価です。その思考と行動を習慣づけるために、たとえば、子どもが自ら見つけた家事のお手伝いに対して100円を払うという決まりごとを決めてもいいと思います。ソリューションを提供して問題を解決することでお金が得られるということが自然に身につくからです。 ■ルールを決める ――「感動」の対価とは? たとえば、子どもが部活で忙しくてお手伝いができない場合は、試合などで「親に感動を与えたから500円」ということを決めてもいいと思います。それが「感動」の対価です。「解決」でも「感動」でも、そういうルールを決めることで、対価に繋がる何かを探す癖がつくようになるでしょう。それは相手の立場に立った思考ができるようになるということでもあるんです。
――成人しても独立せずに、ずっと親元で暮らす子どもも多いようです。 子どもが家を出るXデーを家族で決めておくことです。大学を卒業したら、20歳を過ぎたら、いつでもいいと思います。この時期になったら家を出て、自立して一人で自分のお金で暮らしなさいというのを決めて、家族で共有しておくのです。幼少時代から親に言われ続けた子どもは、早い時期から経済的な視点や判断力がつくと思います。たとえ実家暮らしを続けるとしても、銀行の自動引き落とし(定額自動送金)で実家の家賃としてお金を払ってもらうのです。現金のやり取りを都度やっていく方法だと、いつのまにか支払いが滞る可能性があるからです。 ――お金の教育次第でその後の人生が大きく変わりそうですね。 気前よくお年玉を与えるのもいいですが、そのお金をどう使うか、どうすればそれが増えるのか、この機会に一緒に考えてみましょう。2025年は豊かな一年となるよう、頑張りましょう! 次回のテーマは、「お金を使い切りましょう」です。 菅井敏之(すがい・としゆき)/1960年、山形県生まれ。学習院大学卒業後に、三井銀行(現・三井住友銀行)に入行。東京と横浜で支店長を務め、25年間銀行マンとして働く。48歳で早期退職。現在は10棟のアパート経営で年間7000万円の不動産収入を得ている。また、人気講師として全国で講演やセミナーを行っている。現在は帝国ホテル内でお金に関する相談も受けている。著書に『お金が貯まるのは、どっち!?』(アスコム)など。 お金の専門家・菅井敏之公式サイト「お金が貯まるのは、どっち!?」(https://www.toshiyukisugai.jp/)
大崎百紀