滋賀県彦根市の「景観フォーラム」設立20年 市民が再発見した「まちの魅力」とは
滋賀県彦根市民らでつくるNPO法人彦根景観フォーラム(濱﨑一志理事長)が今年、設立20周年を迎えた。11月2日には記念集会が同市内であり、市民やメンバーらがまちの魅力を再認識し、新たなまちづくりに向けた課題などについて意見交換した。 景観フォーラムは2004年8月、まちの景観保全と地域文化財の保存・活用を目指して設立され、市民や県内在住者などの約40人が活動している。毎年のようにシンポジウムや研究会を重ね、彦根城下の芹橋地区に残る足軽組屋敷の保存や発信、隣の多賀町にある江戸後期の庄屋屋敷を宿泊施設として再生させ運営するなどしてきた。 2日の記念集会は「世界の城下町彦根の景観を考える」をテーマに、城を望む同市本町3丁目の和風礼拝堂「スミス記念堂」で開き、市民ら約30人が参加した。 登壇者や参加者からは、まちの魅力について「城下町の構成物が開発から免れ、生活の中に文化や自然、景観が適度に混じり合っている」などと評価する意見が出た。まちに対して市民が愛着や誇りを抱くよう願ったり、行政に頼らない魅力発信を提案したりする声や、今後のまちづくりに向け「磨けば光る宝物がたくさんあるのに、お城に寄りかかりすぎている。もっと若い世代と連携して課題を整理する必要がある」といった声が上がった。 最後に「シビックプライド(まちへの誇りと思い)を持つ市民として、積み重ねられたまちの文化や歴史を大切にし、彦根ならではの多様性ある文化景観のありようを考えよう。このまちの『いいね』を言葉にし、より良きものにするために行動しよう」とするパブリックメッセージを発信した。濱﨑理事長は「今後も彦根の景観や街並みの保存や活用に取り組んでいきたい」としている。