「お惣菜を出すのは心苦しい」主婦が始めたおかず作り代行サービス 廃業寸前を乗り越えた今、今後の展望に迫る
集まった主婦たちと始めたおかず代行サービス
しばらく定食屋さんとして食事を提供したのち、農家の方がカフェを閉めることになりました。そのタイミングで佐竹さんはおかず作りだけにポイントを定め、調理できる移転先を探します。 そして、旦那さんのおばあちゃんが元々住んでいたというお家を改装しおかず作りを始めました。 最初は1人で始めた定食屋さんでしたが、主婦仲間と話しているとき「自分にできることは何?」という話に。それをきっかけに「自分には何もできることがない」と考える主婦が多くいる…と感じた佐竹さんは「そんなママたちができる仕事を作りたい!」と、ママ友や友人たちと一緒にocome+DELIをはじめます。 働くママたちの職場になると同時に、ocome+DELIでおかずを買っていくお客様にはおかずと同時に時間を買ってもらう。「おかずを作らなくてよくなったその時間を『家族との時間』『自分が挑戦してみたいことへの時間』『学び直しの時間』などに充ててほしい」と佐竹さんは考えました。時間に追われ、自分を犠牲にしがちな子育て世代のママ・パパが、自分らしく幸せに時間を使えるように。ocome+DERIには、そんな願いが込められています。
突如訪れた廃業の危機
コロナ禍では飲食業が休業してしまうことが多く「おうちごはん」という言葉が聞かれ始めたのも、記憶に新しいのではないでしょうか。「おうちごはん」がメジャーになるほど、主婦・主夫たちの家庭での炊事頻度が上がり、大変な思いをした方も少なくないのでしょう。 そんな中「誰かが作ってくれた温かいご飯が誰とも接触することなく玄関先に届けてもらえる」。そんな適度な距離感のサービスがコロナ禍の主婦・主夫の悩みにヒットし、佐竹さんのもとには喜びの声が多数寄せられました。 しかし、移転してから2年。当初、6人いた従業員たちが、旦那さんの転勤などの理由により次々と辞めてしまいます。 「子どもの体調や行事の都合で、休みたいときに休める職場環境を提供したい」と考えていた佐竹さんの思いが実現できない状況に陥ってしまい、新たに採用しようにもなかなかうまくいかない時期が続いてしまいます。 佐竹さんは廃業を決意し、お客さん1件1件に廃業のお知らせと理由をダイレクトメールで報告しました。