テレビ販売台数はMini LED搭載4Kモデルが約2倍増。GfKが2024年上半期の家電・IT市場動向を報告
GfK Japanは、全国の有力家電・IT取扱店の販売実績データなどを基にした、2024年上半期(1月 - 6月)の家電およびIT市場の販売動向を発表した。 まず、2024年上半期の国内家電小売市場は約3.3兆円、前年比1.9%減となっている。金額規模では直近5年で最小、2022年以降3年連続での縮小だという。オンライン販売における家電小売市場規模は、IT関連を除くジャンルで前年同期から金額規模で微増。オンライン販売の金額構成比は前年同期から0.5%上昇し、全体の21%の割合となった。 最も高い伸びを実現したのがイメージング市場であり、カメラ関連市場においてレンズ交換式モデルの高価格化、コンパクトタイプの市場の回復傾向が見られている。デジタルカメラはコロナ禍を明けて、昨年から回復基調が継続。台数ベースでは前年比25%増の68万台に伸長しており、コンパクトカメラは28%増、レンズ交換式カメラが21%増となっている。 価格ベースでは、コンパクトカメラは前年比4%減、レンズ交換式カメラは同3%増をマーク。コンパクトカメラは低価格帯の販売増加、レンズ交換式カメラは平均価格の上昇が影響しているという。平均価格は前年並みの9万5,000円。交換レンズも伸長傾向で前年比17%増の28万本、ミラーレス一眼用レンズは同24%増となっており、平均価格10万5,000円で前年より5%上昇している。 オーディオビジュアル市場では、薄型テレビの販売台数が前年1%減の220万台となったが、コロナ需要からの反動減に対して下げ止まりの兆しが見えてきたという。液晶テレビは前年並みを推移しているなか、有機ELテレビは10%減の結果となった。 液晶テレビは、Mini LEDや量子ドット技術など搭載した高画質・大画面モデルが好調で、市場を下支えする格好に。Mini LED搭載モデルは昨年から2倍以上、量子ドット技術採用モデルは約1.4倍のプラス成長となっている。オリンピック需要もあったが、主に買い替え需要の影響だそうだ。 BDレコーダーの販売台数は前年比19%減の41万台で、前年から引き続き減少。低価格帯モデルの減少が影響しているとのこと。一方で高機能製品の構成比は拡大しており、4Kチューナー内蔵モデルは前年比11%増、数量構成比は46%となった。さらに2TB以上のHDDを内蔵しているモデルは同10%増の59%、3チューナー搭載モデルは同5%増の41%を占めている。 ヘッドホン/ヘッドセットは、販売数量が前年比3%減の890万本。ワイヤードモデルはコロナ禍のテレワーク需要の反動を受けて前年比9%減だが、完全ワイヤレスイヤホンは同8%増となっており、特に3万円以上のハイエンドモデルが前年から約1.5倍の成長を遂げているという。5千円未満の低価格帯モデルも前年比10%増の伸びを見せた。 IT・オフィス市場では、PCおよびタブレット端末の市場が前年比6%増の1,070万台となっており、その内訳は、個人向け市場が同5%減、法人向け市場は同10%増という傾向。PCについてはテレワーク需要の反動による減少傾向が続いており、また高価格化の影響も考えられるとのこと。タブレット端末は前年比4%増の390万台で、個人向け市場は同2%増の120万台に伸長している。 テレコム市場では、スマートフォンは前年比18%減の1,130万台で、そのうちの96%を占めるスマートフォンは同16%減の1,080万台、フィーチャーフォンは50万台へと半減した。これは原材料価格の高騰、円安による端末価格の上昇、加えて電気通信事業法の改正による大幅値引きの制限といった要因が、需要を押し下げたものと考えられるという。反面、ストレージ容量の大きいモデルや高画素カメラを搭載した機種の割合が増え、価格上昇とともに製品機能も向上傾向にあるそうだ。 ウェアラブル端末は、前年比4%増の160万本を確保。市場の過半数を占めるスマートウォッチは同4%減であったが、ランニングや山登りなどの用途に対応したスポーツウォッチが同87%増と大幅に拡大した。また数量構成比も全体の31%占めている。1万円未満の比較的手頃な価格帯の製品ラインナップが拡充し、2倍以上の販売数量となったことが背景のひとつとして挙げられていた。 生活家電市場は、冷蔵庫が210万台、洗濯機が260万台と、どちらも前年並み。エアコンは前年から8%増の420万台。掃除機は前年並みの360万台だが、ロボットタイプが前年比16%減となっている。この背景として、継続して使用する割合が低く、アンケート調査では購入した後1年以上使っていないユーザーが16%にも上ったことが明かされた。
編集部:長濱行太朗