【九州初】「こどもホスピス」福岡に14日開設 家族で安心して過ごせる場所を 我が子への思いを胸に奔走
FBS福岡放送
重い病気や障害がある子どもと、その家族が思い思いに過ごせる施設「こどもホスピス」が14日、福岡県古賀市にオープンします。九州では初めて開設されるこどもホスピスの実現には、愛する我が子を亡くした女性の思いがありました。
■福岡子どもホスピスプロジェクト 理事・内藤真澄さん 「よろしくお願いします。」 「こどもホスピス」のオープンを3日後に控えた11日、福岡子どもホスピスプロジェクトの理事を務める内藤真澄さん(30)は、慌ただしく準備に追われていました。 ■内藤さん 「やっとですよね。私でも『やっと』って、うれしいと思っているから。」 内藤さんが実現を目指す「こどもホスピス」は、重い病気や障害がある子どもが、看護師や介護士から医療やケアを受けながら、家族と安心して過ごすことができる施設です。終末期の患者の緩和ケアを行う「大人のホスピス」とは違い、子どもたちが家族とくつろげる“第二の家”です。
内藤さんがこどもホスピスの開設を目指すようになったきっかけは。 ■内藤さん 「いろいろ大変なこともあったのですが、息子の生きた意味を残したいという思いがずっとあったので、それが活動の原動力になっていました。」 内藤さんの長男・駿(しゅん)くんは13年前、白血病のため3歳2か月で旅立ちました。およそ2年間の闘病生活中、自宅に帰ることはほとんどできませんでした。 ■内藤さん 「家に帰れなかったのが一番つらかった。個室が長かったのでお友達とさえ遊べなかったんです。遊ぶって普通じゃないですか。だけど、かなわなかった。」 多くの子どもたちにとっての「当たり前」が奪われる入院生活。実感したのは家族みんなで過ごす時間の尊さでした。
■内藤さん 「レモネードいかがですか。小児がんの子の支援をしています。」 内藤さんは同じ思いの家族の役に立ちたいと、こどもホスピスの開設を目指す取り組みを続けてきました。しかし、大きな壁となったのが、高額な建設費と運営費の調達です。福岡でこどもホスピスを開設する場合、土地代や建設費で4億円が必要と試算されています。 ■三原じゅん子 こども政策相 「最近各地で、地域で協力してこどもホスピスを立ち上げる動きがあります。こうした地域の皆さんの動きを加速化し全国に拡大するために、国として支援を創設することといたします。」 12日、衆議院で可決した補正予算には「こどもホスピスへの支援」として3億円が初めて盛り込まれ、こども家庭庁が全国普及に向けて財政的な支援に乗り出します。 ただ、法的な支援制度が追いついていない現状では、運営資金は民間の助成金や寄付に頼らざるをえません。今のところ、こどもホスピスは全国に大阪・横浜・札幌の3か所しかありません。