「物流の2024年問題」について大江麻理子キャスターと一緒に深掘り!
Q 「2024年問題」という言葉の意味を知っていますか?
意味までの認知度は4割。知っている人からは「輸送能力不足への対策として何が行われていますか」「個人でどのような心がまえをすべきですか」という質問が。知らない人からは「問題による影響を知りたい」など ●大江ʼs eyes 問題が差し迫っていることもあって、半数近くの方が内容も含めてご存じですね。物流はすべての根底といいますか、きちんとものが滞りなく流れ、届くことが今の日本の社会の前提になっていますから、それが滞ってしまうと、生活や仕事などあらゆることに影響が出てくると思います
Q 宅配便を受け取るとき再配達の削減を意識していますか?
「とても・やや意識している」を合わせると約9割。「置き配を選ぶ」「宅配ロッカーの利用」「アプリで配達時間を変更」など再配達削減の工夫をしている人が多かった。「不在票が入っていると申し訳なく感じる」という意見も ●大江ʼs eyes 再配達を減らし、一回で荷物を受け取れるようにしたいという思いは、どなたも共通していると思います。2024年4月からトラックドライバーの労働時間規制が始まると輸送能力不足が懸念されますので、今から各自が意識して再配達をしなくてもいい状況をつくっていくことが大切です
Q 勤め先や仕事において2024年問題による影響はありますか?
最も多く挙がった影響は「商品や備品の手配が遅れること」。メーカー、歯科助手、システムエンジニア、卸売り、販売、介護、学校事務など様々な業種で問題になっているよう。「運送コストの見直しにつながった」という声も ●大江ʼs eyes あらゆる業種の方から声が寄せられたことが印象的でした。これほど幅広い業種の方が同じ影響があると回答するのは珍しいことだと思います。2024年4月の適用開始直後は変化が大きく大変かもしれません。ですが、切羽詰まった状況だからこそいろんなアイディアが出てきています
「トラックドライバーの労働時間規制により物流が滞るのではと懸念されています」
「2024年1月号ということで、その年を冠している問題を最初に取り上げるのがよいと思い、今回のキーワードを選びました。『2024年問題』とは、働き方改革関連法の施行に伴った時間外労働の上限規制が5年間猶予されていた業種に、2024年4月から規制が適用されることで生じる問題を指します。対象の業種はトラックドライバーなどの自動車運転業や建設業、医師です。各業界に課題がありますが、今回は『物流の2024年問題』を取り上げます」と大江さん。どんな問題が生じるのですか。 「トラックドライバーの労働時間が短くなることで、物流が回らなくなるのではと懸念されています。規制の適用が猶予されていた業種というのは、長時間労働が前提になっている、人の労働力に頼る割合が大きい労働集約型の産業です。急な適用が難しいため、猶予期間に効率化を図り、生産性を上げて労働時間を短くする努力をしてくださいということになりました。ところが、ドライバーの高齢化や価格転嫁が進んでいない業界背景による人手不足もあり、まだ対応できていない部分があるのです」 このままでは2030年には輸送能力が約34%不足するとの試算もあり、政府は対策として「物流革新緊急パッケージ」を策定。 「抜本的な改革として、トラックに代わり鉄道や船の輸送量を倍増させる目標や、将来的に高速道路で自動運転トラックが走行できるように環境を整える計画も盛り込まれました。トラックドライバーの労働負担を軽減する設備やシステムへの投資、DXによる効率化なども掲げられています。労働集約型だったビジネスモデルをどう変えていくかという点で、企業の後押しができるような政策が求められています」 『WBS』では、課題解決のための企業の新しい取り組みを数多く報道している。 「デジタルツールを使って、トラックドライバーの待ち時間が効率化された例が興味深かったです。荷物の積み下ろしの待ち時間が長く、呼ばれるまでずっと待ち続けていたドライバーさんが、システムのDX化により、スマートフォンで順番や推定時間が受け取れるようになり、仮眠が取れたり、待ち時間の短縮につながったりしていました。ほかには、長距離のトラック輸送では、運送会社が地域ごとに連携し、リレー方式で輸送することで労働環境が改善された例も。また、食品の加工や包装など作業別に拠点が分かれてその都度輸送していたものを、倉庫内を多機能化して一カ所にまとめ、効率化した企業の例などもありました」