幻の「陶貨幣」50万枚見つかる 金属不足の戦時中製造、京都
造幣局(大阪市)は9日、金属不足の戦時中に製造された「陶貨幣」約50万枚が京都市の製陶工場跡地の倉庫から見つかり、引き渡しを受けたと発表した。造幣局によると、陶貨幣は実際には流通せず多くが廃棄されたため「幻の貨幣」と呼ばれる。大量に発見されるのは珍しいとしている。 見つかったのは全て1銭陶貨で、木箱で保管されていた。戦時中に造幣局から陶貨の製造を委託された、がいし・陶磁器製造業者「松風工業」(京都市、解散)の工場跡地を引き継いだ関連会社が発見した。造幣局は希少な貨幣を収集しており、見つかった陶貨幣の状態を調べ、造幣博物館などでの展示を予定する。 造幣局によると、国は1945年4月、京都と愛知県瀬戸市、佐賀県有田町の3カ所の工場に陶貨幣3種類の製造を委託。計約1500万枚が製造されたが流通させる量に足りず、終戦とともに多くが粉砕処分された。 造幣局の担当者は「太平洋戦争末期における陶貨幣製造の状況解明につながれば」と話している。