【識者の見解】ヘグモ解任→スコルジャ再任の是非。大きな混乱にならないと想定。目立った変化があるとすれば選手起用だ
構築に多少時間を要する部分はそのまま踏襲
昨シーズンの浦和は、ベストイレブンに輝いたGK西川周作、ショルツ、マリウス・ホイブラーテンを中心に、リーグ最少失点のディフェンスを強みとしていたが、逆に得点面は“理不尽”とも言われたFWホセ・カンテのやや遠目からの決定力や、偶発性のあるゴールに頼っていた向きがあるのも確かだ。 そうした傾向から、スコルジャ監督イコール守備的というイメージが強いが、5月に行なわれたACLファイナルで、巨大戦力のアル・ヒラルに勝って、アジアのタイトルを獲ることから逆算したチーム作りでもあった。 浦和の前に率いていた母国のレフ・ポズナンでは“8番タイプ”と呼ばれる攻撃的なボランチを2枚並べて、二列目が積極的にゴールを目ざすサッカーでリーグ優勝を果たしている。コーチングスタッフは現時点で明かされていないが、町田戦で暫定監督を務める池田コーチや分析担当の林舞輝コーチはそのまま残ると見られるだけに、ビルドアップの基本設計やセットプレーなど、構築に多少時間を要する部分はそのまま踏襲されることが予想できる。 残りシーズンで目立った変化があるとすれば、それは選手起用だ。ヘグモ監督のもとである程度、主力選手が固まってきている。そこで主な基準となっていたのが、攻守の1対1の強さとフィジカル的な強度だ。来年のクラブワールドカップを見越して、負荷の高いトレーニングを継続してきたが、前半戦は多い時で10人前後の怪我人が出て、指揮官を悩ませた。 しかしながら、ここのところは長期離脱の選手がおらず、別メニューの選手もほぼいない状態だった。そうしたなかで、ヘグモ監督がチョイスしていたファーストセットから、どう変わってくるのか。 酒井、ショルツ、岩尾といった選手はいないが、スコルジャ監督が戦術的なキーマンとして重宝していたMF小泉佳穂などが、改めて主力候補に乗ってくると見られる。ただ、今年の開幕前や夏の移籍で加入した選手でも、ヘグモ監督とは違った目で、適正ポジションが見極められるはず。 後半からの再開が見込まれる川崎戦を含め、残り12試合という、このタイミングで監督を代えるべきかどうかは賛否両論あるはずだが、この期間にチームを再構築しながら、残すべき戦力と補強が必要なポジションを見極めることができるメリットは大きい。来年の大目標はクラブワールドカップになるが、ここからの終盤戦を含めて実質3年目を考えるならば、リーグ優勝に絡んでいけるチームを作っていくことが期待される。 ただし、浦和というクラブである限り、残り12試合も勝利を目ざすことに変わりはない。帰ってきたスコルジャ監督のもとで、チーム作りや選手起用にも注目しながら、試合の結果に対しては変わらずシビアに見ていきたい。 取材・文●河治良幸
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