献血、毎日呼びかける理由 体験して知った「輸血」だけじゃない用途 成分献血のゆくえは
献血にご協力お願いします――。ターミナル駅などで呼びかけられている献血。交通事故や手術での大量出血などで使われるイメージが強いですが、実は約半数が「薬」の原料になって役立っているのだそうです。なぜ毎日のように献血を呼びかけているの? 献血すると「いいこと」ってある? 記者が献血をしながら、現状を取材しました。(withnews編集部・水野梓) 【画像】「生々しすぎる」献血グッズのカイロ 攻めたデザインの意図は…
若い世代の献血者数、減少傾向
日本骨髄バンクのドナーが10年以内に22万人も減ってしまい、若い世代の登録が喫緊の課題になっている……という問題を、昨年から取材してきた記者。自身も「ドナー登録がしたい」と献血ルームに取材を申し込みました。 実は「若い世代の協力が必要」という課題感は、献血も同じだといいます。 2022年度の献血者は、全国で500.9万人。そのうち50歳以上が42.6%、30~49歳が39.2%、16~29歳は18.2%です。少子高齢化が進み、10~30代の献血者数は減少傾向にあるといいます。 せっかくなら献血もしようと考えた記者も、献血は学生時代ぶり。事前検査で血色素量が低く、献血ができなかった記憶があり、「自分には難しいかな」と感じていたことも足が遠のいていた理由のひとつです。 東京都赤十字血液センターの広報担当者・平柳美月さんは、「自分にはできないかも、と考えている方も多いんですが、赤血球を体内に戻す成分献血であれば、全血献血よりも血色素量の基準が低く、体への負担も少なく、できる場合もあります」と話します。
全血ができなくても、成分なら…
全血400ミリリットル献血の基準は、血色素量が男性13.0g/dL以上、女性12.5g/dL以上です。 記者の事前検査の結果は、12.2g/dL。しかし12.0g/dL以上あれば、赤血球などを体に戻す「成分献血」はできます。 過去に献血ができなかった経験から、今回は血色素量の基準値が低い「成分献血」で予約を取ってもらっていました。 もし基準を満たせば全血400ミリリットルで、と考えていましたが、基準に及ばず。しかし、実は「成分献血」も非常に重要なのだといいます。 成分献血は、採血装置で血液を分離して「血漿」や「血小板」を集め、赤血球・白血球などを体に戻します。 この「血漿」は、いったい何の役に立っているのでしょう。 平柳さんは「献血というと、事故に遭った時の大量出血用など輸血で使われるイメージがあるかもしれませんが、実はそのまま輸血に使われるだけでなく、感染症・やけどなどの治療の薬にも使われています」と話します。