大谷翔平が「40-40」達成、30球団最高勝率もドジャースの現状は苦しい? カギは山本由伸の完全復活
【打線はより強力に】 とはいえ、野球は先発投手がすべてではない。打線がけん引するチームもありうる。今季のメジャーリーグは全体的に攻撃力が低下しており、たいていのチームの打線にはよい打者が3、4人程度しかいない。ゆえに今季5得点を挙げたチームは、80.3%の確率で勝利を挙げている。 ドジャース打線は、このところ強力になってきた。前半はMVPトリオを擁する上位打線はよくても、下位打線が弱かったが、改善された。少なく見ても強打者を7人揃えているし、パワーがあり、出塁能力も高く、スピードも備え、左右のバランスも取れている。メジャーナンバーワンの打線かもしれない。これまでケガでベストメンバーが揃わなかったが、それでも1試合平均4.9得点はナ・リーグ2位。今後、コンスタントに5点以上を挙げると期待できる。 今振り返ると、トレード期限でひとりの大物野手を取りにいくのではなく、経験豊富なベテランを複数補強、選手層を厚くして、チーム構成を柔軟に検討できる状態にしたのはよいアイデアだった。 具体的に書くと、6月にキャバン・ビジオ(二塁手)、7月にニック・アーメド(遊撃手)、トレード期限でケビン・キアマイアー(外野手)、ユーティリティ選手のトミー・エドマン、遊撃手のアメド・ロサリオを獲得。加えて、8月中旬にはムーキー・ベッツやマックス・マンシー(三塁手)がケガから戻ってきた。結果、ドジャースはメジャーの40人枠に、MLB経験を持つ18人のポジションプレーヤーを抱えることになった。プレーオフでは野手のポジションは13人分しかない。 ロバーツ監督は7月下旬から8月上旬、なかなか勝てなかった時期、士気を高めるために、「The cavalry is coming」というフレーズをよく使った。騎兵隊が援軍に駆けつけるという意味で、ケガをしていた選手や、トレードで獲得した新しい戦力がはせ参じるということだ。と同時に、ロースターが膨らんだことで、カットされる選手も出てくるとし、微妙な立場の選手に「緊迫感を持って競争に向かうべき。ポジションは全員に与えられない」と伝えた。