「それってSHEINに限った話なんですか?」強制労働、デザイン模倣疑惑…それでも世界を席巻する中国発の激安アパレル通販
デザインの模倣や商品の安全性に対する問題も起きている。ユニクロを展開するファーストリテイリングが2023年末に、シーインの運営会社などに対して販売停止と損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。シーインの「ラウンドミニショルダーバッグ」の形態がユニクロの商品と酷似し、不正競争防止法に違反していると訴えている。 韓国では、ソウル市がシーインの商品を検査したところ、発がん性物質が確認されたとの報道があった。衣類や化粧品などから基準値を上回る有害物質が検出されたといい、SNSでは商品の安全性を不安視する声が上がっている。 ▽大量生産、大量消費で環境負荷大きく 環境省が2022年に実施した調査によると、国内の衣服供給数は増加する一方、衣服1枚当たりの価格は下落傾向にあり、「大量生産、大量消費が拡大している」と分析する。シーインのようなファストファッションといわれる安価な衣料品が普及し、衣服のライフサイクルが短くなっていることが大量廃棄につながるとの懸念を示す。衣服の原材料調達から製造までの二酸化炭素(CO2)排出量は年間で約9万キロトンに相当し「環境負荷が大きくなっている」と指摘する。
動画投稿サイトを中心にインフルエンサーとして活動する20代の女性は「シーインの商品があまりにも安いので、ついつい買いすぎてしまう」と明かす。買い物の大半は洋服だが、動画撮影用の小道具なども購入しており、1回の購入金額が数万円に上ることもある。女性の自宅ではシーインで購入した商品が積み重なっているといい「安いので買い物に失敗したとしても大して気にならないが、大量に物を買い続けて良いのだろうかと思うことはある」と言う。 ▽謎に包まれた運営実態 慶大生の佐藤さんによると、2024年の初めごろSNSで、シーインで購入した商品の段ボールに「南京虫」の名前で知られる害虫トコジラミが付着していると話題になった。だが、身近な知り合いで実際にトコジラミに遭遇した人はおらず「うわさがうわさを呼んで、話が大きくなっているのではないか」と苦笑する。強制労働やデザインの模倣が疑われるネガティブな情報をSNSやニュースで見かけても「それが本当に正しいかは分からないと感じる」と話す。