紫式部と清少納言が最終回まで…クリエイター大河だった「光る君へ」 ついに登場した〝めぐりあひて〟
「仏教を信仰しよう」広まっていた末法思想
水野:リスナーさんから質問が寄せられていて、仏教の末法思想はこの頃、どのぐらい広がっていたんですかというものがありました。 たらればさん:信じていない人もいたと思いますが、この頃の仏教は社会のど真ん中にある価値観でしたね。 『源氏物語』にも色濃く反映していますし、紫式部の生き方にも、道長の生き方にも強く影響しています。 水野:末法思想というのはどんなものなのでしょうか? たらればさん:仏教が廃れてきて世の中が乱れているので、もっと仏教を信じましょう、でないと大変なことになるし、いまもうそれは始まっている、という、ある種の終末思想ですね。 「ノストラダムスの大予言」みたいに、このままでは世が終わってしまうので、みなさんちゃんと仏教を信仰して生きましょうと。 お寺にもお金をかけて寄進したり寄贈したりしていましたし、豪勢なお寺を建てて、立派なお坊さんを呼んで法会を開くことが信じられていた時代ですね。 水野:そういえば、紫の上も法会を開いてましたもんね! たらればさん:今のお金持ちにもいると思いますけども、当時の貴族も、あの世に財産は持っていけないのでお寺を建てますね、「だから死後もよろしくね」と、そういう発想になったんですね。 道長が亡くなった法成寺もドラマで描かれましたし、息子の頼通は「極楽浄土のような美しい建物」といわれた平等院鳳凰堂を建てましたし。 水野:ドラマでは、危篤の道長と、仏様の手が五色の糸がつながっているシーンがありましたね。 たらればさん:これは『栄花物語』に描かれている臨終間際のシーンですね。 水野:リスナーさんからは、「まひろが道長の手をとったのは、この阿弥陀仏とのメタファーかなと思いました」というリプがありました。まだまだ見逃しているシーンがありそうなので、何度も見ないといけないですね。 たらればさん:ききょうとまひろのシーンだけでもいいんですけどね(笑)。 ◆これまでのたらればさんの「光る君へ」スペース採録記事は、こちら(https://withnews.jp/articles/keyword/10926)から。