異色経歴の2人の挑戦に注目 ルーキー小林香菜はサークル出身、世代トップ選手だった伊澤菜々花は2年のブランクから復帰【クイーンズ駅伝】
■「今は苦しい練習でも楽しい」と伊澤 伊澤菜々花のプリンセス駅伝1区(7.0km)は、強さが感じられた。先頭集団で落ち着いた走りから、5.7km付近で一気にスパート。2位の肥後銀行・南雲栞理(29)に5秒差をつけて2区に中継した。「区間賞は狙っていたので、狙い通りに取れて嬉しいです」と伊澤。一度現役を引退後に復帰した選手は、強い覚悟を持って競技を行っている。伊澤もその例に漏れないが、順大大学院に通いながらコーチをしていた2年間を経験したことで、精神的な余裕も生じている。 「(前実業団チームでの競技生活を)やり切って終わったわけではなかったので、このまま辞めていいのかな、という気持ちが心のどこかにありました。その後コーチという立場で学生たちの練習している姿を見ていたら、自分ももっと走りたいと思うようになりました。以前は結果を出さなければ、という気持ちが先行していましたが、今は走ることが楽しく感じられています。練習はキツいときもありますが、苦しい練習も楽しいと思えます」 楽しむ気持ちで競技に取り組めている選手は強い。それは間違いないが、伊澤はスターツに入社後、プリンセス駅伝前は2レースにしか出場していなかった。初レースは7月の3000mで9分26秒6。好記録とはいえないタイムだが、弘山勉監督は7月末には「1区は伊澤で」とほぼ決めていた。 「狙った試合から逆算して今がどういう時期で、どの程度できていればいいかを判断します。伊澤はどちらかというと、バネを利かせてダイナミックに走るタイプです。バネを使えるような練習の組み立てにしないと、良い練習はできません。私の練習が元から、(負荷の大きい)ポイント練習の頻度は多いのですが、そこまで速いペースで追い込むことはしません。伊澤の練習も確実に走ることを主眼にしていて、彼女が上げすぎたときは『スピード違反切符を切るよ』と言って抑えるようにアドバイスしています」