市内バス3路線、来年3月廃止…自治組織会長「通院などで利用するお年寄りらにとって死活問題」
島根県西部で路線バスを運行している石見交通(益田市)が、益田市内の匹見線など3路線を2025年3月15日で廃止することがわかった。利用客減少による採算性の悪化や運転手不足などを理由に挙げており、市は3路線の代替交通手段を検討している。路線が廃止されるのを受けて、同市匹見町の住民が7日夜に集会を開き、今後の対応を話し合った。
市や石見交通によると、同社は市内で14路線を運行する。今回廃止するのは、市中心部の医光寺前―匹見地区の匹見線(42・6キロ、1日8~10便)、医光寺前―西益田地区の梅月線(10・7~13キロ、同5便)、益田駅―種地区の種線(13・3~19・6キロ、同8便)の3路線。市中心部のルートについては、重複する他路線でカバーできるという。
石見交通は、3路線の廃止について、利用客の減少で採算がとれないことに加え、約40人いる運転手の平均年齢が58歳と高齢化しており、新たな人材の確保が困難としている。特に匹見線は長距離で冬場は積雪が多く、早朝便は、運転手の宿泊を伴うなど負担が大きいという。
市は同社に対し、バス路線を維持するための補助金を出しており、2023年度は1億7500万円を拠出。同社はそれでも赤字を補えず、補助金の拡充を要請したが認められなかったことから、「これまで通り路線を維持することが難しくなった」としている。
匹見上地区の自治組織「清流の 郷(さと)」と地元自治会は廃止を受け、7日夜に同市匹見町の匹見タウンホールで会合を開催。代替交通についての住民の意見を集約することなどを求め、町内の3地区が合同で、山本浩章市長へ要望書、市議会に請願書を出すことなどを確認した。
自治組織の岡崎朝子会長(51)は「突然、バスが廃止されることになり、地域住民の戸惑いは大きい。通院などでバスを利用しているお年寄りらにとって死活問題だ。市に代替交通手段を早急に示すよう要望したい」としている。