TOPPAN、自治体での利用に特化した機能を実装したメタバースサービス「メタパ for自治体」を提供
TOPPAN株式会社は30日、2021年12月から提供している、複数のバーチャル店舗を集約したメタバースモールサービス「メタパ」をベースに、自治体での利用に特化した機能を実装した自治体向けメタバースサービス「メタパ for 自治体」を11月5日に提供開始すると発表した。 メタパは、仮想空間上に構築した複数の店舗や施設を一つに集約したメタバースモールサービス。特別な機器は不要で、スマートフォンやPCから手軽にメタバースを体験できる。これまで、メタパは企業や自治体に対して共通の基本機能を提供していたが、新たに自治体での利用に特化した機能を実装した、メタパ for 自治体を提供する。 メタパ for 自治体は、導入自治体が手軽に操作できる管理画面からのコンテンツ更新、24時間対応のAI窓口、記録として保管するためのユーザーのコミュニケーションログ取得などの機能を備える。 これまで多くのメタバースサービスでは、空間内の掲載画像、動画、テキスト情報などのコンテンツ更新は、開発者側での手作業による差し替えやアプリ更新が必要などの理由から、煩雑で時間を要していたが、サービスでは導入自治体が管理者となり、管理画面から手軽にメタバース空間内のコンテンツ更新ができる。自治体における災害情報やイベント告知、行政サービスの案内など、住民への迅速な情報提供が必要な場面でタイムリーな情報発信を実現する。 また、TOPPANが提供する3Dアバター自動生成サービス「MetaCloneアバター」と連携した、アバターの生成も支援する。これにより、住民になじみのある首長やマスコットキャラクターなどの、オリジナルアバターを活用したメタバース空間での体験を提供できる。アバターはVRM形式のファイルであらかじめ登録が可能なため、登場させたいメタバース空間へすぐに活用できる。 24時間体制で窓口対応できる生成AIを活用した、NPC(ノンプレイヤーキャラクター)スタッフの配置も可能。RAG(検索拡張生成)を活用し、あらかじめ自治体が用意したデータのみを参照し、AIが自動で回答する。これにより、住民はいつでも自治体への問い合わせが可能で、住民サービスの向上に寄与する。 サービスでは、テキストや音声チャットのログの取得・保存が可能。例えば、住民からの要望に対する対応履歴を記録しておくことで、後日発生する可能性のある類似の相談などの迅速な対応・解決に寄与する。また、メタバース上でのログの取得・記録により、対応の透明性を高め、住民にとっても安心して利用できる環境を実現する。 メタパ for 自治体内では、地域の住民、職員、事業者の交流の場として、メタバース空間におけるセミナーやイベントの開催が可能。TOPPANがこれまで培ってきた、リアルやデジタル空間でのさまざまなイベントの企画・運営のノウハウを生かし、地域外の人へ魅力を発信するセミナーや、観光イベント、事業者マッチング等の施策提案や実施も支援する。メタバースを活用することで、距離や身体的制約で物理的な参加が難しい住民も含めた、広範囲な住民のイベント参加を実現する。 メタパ for 自治体の価格は、空間構築の初期費用が300万円から、月額費用が20万円から。AI実装、アバター生成、セミナー・イベント運営支援などは別途。 TOPPANは、メタパ for 自治体を全国の自治体に向けて拡販していき、今後は、住民のアカウント登録や管理が可能な役所の窓口・電子申請業務に向けたセキュリティ強化や、防災訓練の体験機能等を実装し、2027年までに関連受注含め約10億円の売り上げを目指す。
クラウド Watch,三柳 英樹