世界シェア2位「CMP」など高受注…荏原、半導体装置が好調な要因
荏原の半導体製造装置関連事業が好調だ。世界シェアで2位に位置する化学的機械研磨(CMP)装置に加え、ドライ真空ポンプなどコンポーネントでも高受注を維持する。半導体投資では人工知能(AI)向けがけん引する。複雑な配線工程が増える中、同社のCMPなどの出番も増える。多様な製品群で伸びる需要を捉える。 【写真】荏原のAI向け製品のCMP装置 「2025年も市場は伸びてくる。それに合わせた生産キャパシティー増強の手も打っている」。荏原の露木聖一精密・電子カンパニーカンパニー共同最高執行責任者(COO)は生産能力の充実に自信を見せる。 国際団体のSEMIは、半導体市場は30年に21年比約2倍となる1兆ドル規模に達すると予想する。特にAIなどの高性能デバイスの投資が市場をけん引する格好だ。 荏原はすでに投資の手を打っている。25年度には熊本事業所(熊本県南関町)で新生産棟が稼働。同年には藤沢事業所(神奈川県藤沢市)で研究開発棟が完成する見通し。台湾でもドライ真空ポンプの生産を行う工場を建設中だ。露木共同COOは「30年に向けた準備はしっかりとした」と力を込める。 製品群でもAI需要を見据える。12月に開催される「セミコン・ジャパン2024」では、AIデバイスで多用されるアドバンスドパッケージ(先進パッケージ)向けの新メッキ装置を初披露する。同時にドライ真空ポンプや排ガス処理装置も同時に展示する。露木共同COOは「我々は製造装置もやるし、半導体工場の(ドライ真空ポンプなどを設置する)サブファブ向けの製品も手がける。半導体工場へトータル提案できるユニークな面を押し出す」と話す。 今後もAI市場は拡大すると予想される。露木共同COOは「ビジネスチャンスはどんどん増える。顧客と密着した開発と供給力の強化が機会を逃さないために必要だ。それに対応できる組織を作る」と意気込む。「半導体市場1兆ドル」の時代に向け、準備万端だ。