自民・憲法改正推進本部の保岡興治本部長が会見(全文1)自衛隊を合憲に
自民党の憲法改正推進本部長の保岡興治衆院議員が21日午後3時半から東京の外国特派員協会で記者会見した。 【中継録画】自民・憲法改正推進本部の保岡興治本部長が会見 安倍晋三首相は、改正した新憲法を2020年に施行したい意向を表明し、憲法9条に自衛隊を明記する改憲方針を示している。また自民党としての改憲案を年内にまとめるというスケジュールにも言及している。
9条に関する安倍総裁の会見発言に対する説明
保岡:皆さんこんにちは。今日は伝統ある日本外国特派員協会、お招きいただきまして、こうやって皆さんとお話しする機会もらいまして、大変光栄に思っております。世界一古くて最も権威のある記者クラブということで、1945年の太平洋戦争が終わったときに世界から集まったジャーナリストや写真家がつくった特派員クラブだということで、日本の戦後の歴史と一緒なんだと、そう思った次第でございます。 今、お話にあったとおり、日本が第2次世界対戦で敗れたあと、連合国が日本を占領したんですね。そのときにマッカーサーの指示で、本当はハーグ条約上は占領下において、その国の基本的な法制を変えてはならないと、こういう趣旨の条約があったと思うんですけども、連合国、マッカーサー司令官は上手に日本が再び世界の秩序を乱す脅威にならないように、二度と戦争で立ち上がらないようにと、そういう日本のある意味、無力化を前提としてこの憲法を作ったという経緯があると思います。 先の大戦で日本は本当に大きな痛手を受けまして、多くの方が亡くなったり、また外国の戦争に巻き込んだ国々の方にも大変な被害を与える結果に〓なって 00:06:02〓。非常に日本国民はもともと和の国ですから、平和を愛する国家だったんですけども、明治以降、列強に伍すといって、富国強兵といって、兵隊も強くということで、列強に負けない体制を取るのに一生懸命になったあまり、敗戦してしまったわけです。 日本人は、ですから戦争大嫌いな国家に大きく変わりました。今日まで日本国憲法が改正されなかった最大の理由は、憲法の9条、戦争放棄の条項ですね。これを国民が大事にした結果だと思います。自民党は1955年、結党しましたが、結党のときの理念は日本国憲法を自主的に改正すると。独立した新しい日本の憲法を自分たちで国情に合わせて作り直すということを党是としました。いろいろ経緯はあるんですけども、今日はここでその話をするわけではありませんので、その後、日本は経済を中心に政治を行いまして、憲法改正は国会で議論すらできない状況で推移しまして、東西冷戦構造が崩壊して、その後2000年になって、やっと憲法を国会で論ずる組織が衆参に憲法調査会として立ち上がったわけです。 2000年から今日まで17年余り、国会で憲法の改正、憲法の問題を調査したり議論したりしてまいりましたし、かなりしっかりした憲法論議はわれわれ進めてきたと思っております。両院で議長報告を5年間でまとめて、その後2年余りかけて国民投票法制をつくり、そして18歳投票年齢という憲法発議できる条件を全部整えました。 残念なことに、政局に巻き込まれて与野党が対決するということになると、憲法改正論議はなかなか進まないということで、合わせて6年、7年ぐらい憲法の論議が国会で止まっていた時期もございます。近いところでは、去年の秋から憲法審査会が両院で始まりまして、そして今年に入ってもなんとかいろいろ政局の波をくぐりながら憲法論議を進めてまいりました。そういうときにわれわれとしも憲法論議を抽象的にしてても、憲法改正というのは最終的に国民投票で決めるものですから、従ってそろそろ憲法のどこを、どのように具体的に変えるか、その改正の必要性は何か、そういったことを案文の形で明確にして国民の前に国会で論議したりする時代を迎えていると、こう思っておりました。 そういうときにちょうどというか、タイミング良く、安倍総裁が、自民党総裁が5月3日の憲法施行70周年記念の日に全国民、そして党員にメッセージを発せられました。それは9条の条文はそのまま残して、自衛隊の存在だけは明記する。こういう憲法改正案はどうだろうかという発言でございました。そしてもう1つは、経済的な事情に左右されずに、希望すれば高等教育をはじめ教育が国民に開かれたものであるという、そういう憲法改正を目指そうという提案でした。 先ほど申し上げたように日本は平和愛好国の道を70年歩んできました。どうぞ。2年前、終戦70周年記念の日に安倍総理大臣は閣議決定で総理大臣談話を発表しております。それは安倍総裁が日本政府のトップとして、戦前の戦争に至った経緯をいたく反省して、日本は二度と武力で、武力行使によって国の主張をしない国家として生まれ変わって、今日まで歩んできたと。そしてこれからも子や孫にそういう国家を受け継いでいくんだと、それを固く誓った国家だということを表明したのでございます。 憲法の解釈はいろいろ変遷がございますが、最初は自衛権まで放棄したという当時の吉田総理の答弁もあります。しかしその後、自衛のための必要最小限度の自衛の組織は持つということで今日、自衛隊が存在しています。簡単に言えば、わが国を防衛するために必要最小限度の実力組織としての自衛隊は憲法も認めている合憲だという解釈に今日なっております。2年前に成立した平和安全法制も、この原則の範囲内に立っています。 ところが、憲法学者の中には自衛隊は違憲である、あるいはそういう指摘が多いものですから、教科書などにも違憲の指摘があるということがどの教科書にも普通、書かれています。日本の平和愛好国の象徴である自衛隊の存在。これを守ってくれているツールといったら語弊があるかもしれませんけれども、手段である自衛の組織、これが合憲、違憲の評価は分かれると、解釈が分かれるということはいかがなものかと。 そしてまた、自衛隊の諸君が命を懸けて国を守り、災害に当たっては救助に赴き、世界の平和活動には積極的に努力をして、世界から評価を受けているにもかかわらず、それが違憲な存在だということがあるということ事態が異常であると。自衛隊が憲法に明文として、合憲の存在として書かれていないことが異常である。従って、この際、安倍さんは自衛隊という一番大事な国家の組織、基本的な国防という一番国政上重要なテーマを担っている自衛隊を、明確に憲法に合憲として位置付ける。それだけでもよい、その改正をしたいという提案で憲法の解釈には9条、いろいろな解釈が存在します。もちろん政府解釈もあります。しかし、そういったものには一切触れずに、それはそのまま残して、自衛隊が違憲であるという議論の余地をなくしてしまおうと。自衛隊は合憲だと。誰から見ても合憲だという改正をしようという提案をされたと理解しました。 この提案ならば国会の3分の2以上の議員の賛成が得られる可能性が非常にあり、そして、国民投票からいっても9割以上の国民が自衛隊を信頼して、尊敬している。これは第1回目の一番重要な9条の改正としては誠に正鵠を得ている、私はそのように感じました。 以上が、9条に関する安倍総裁の会見発言に対する、取りあえずの私の説明にしたいと思います。いずれにしてもこれは、これから自民党憲法改正推進本部でわが党で議論を活発にして、そして具体的な案を作っていくわけで、現在、私の受け止め方ということでご理解いただければと思います。