誘ってもタヌキ寝入りする夫。セックスレス解消に向けて動く妻。長年のブランクを埋めるために必要なこととは?【書評】
今、社会問題としてクローズアップされる課題のひとつ、少子化。人口減少に歯止めが利かない理由には、複雑な要因が多数絡まっている。その内のひとつに、夫婦のセックスレス問題も今や大きく関わっていると言っていい。病気やお金の話以上に、公の場では語ることの憚られる性の話。だがそもそも未婚化が急速に進む中、結婚した夫婦も47%、約半分近くがセックスレスに陥っているという。少子化も止まるはずがないわけだ。セックスレスを夫婦で互いに問題視していなければ、別段それはそれで構わない。しかし、本当に夫婦ふたりともがセックスレスの現状を良しとしているのか。きちんとそれを真正面から話し合い、意思統一のできている夫婦は一体どれだけいるのだろう。 【漫画】本編を読む
おそらくそれがきちんとできている人々が大多数であれば、世の中にこんなにたくさんのセックスレス問題を扱った書籍は生まれないだろう。『「君とはもうできない」と言われまして』(モチ:漫画、三松真由:監修/KADOKAWA)も、そんなセックスレスに悩む夫婦を描いた作品のひとつである。
主人公・律子は夫・圭一郎とのセックスレスが悩み。子どもも小学生になり自立したのをきっかけに、久々に夜の営みを誘ってみるが、冷たい反応をされ「自分にはもう女としての魅力がないの?」とネガティブになってしまう。 様々なアイテムを試して強引に迫るも失敗ばかりの一方、義母からはふたりめの期待ものしかかる。重ねて職場でも妊娠前のようなやり甲斐のある仕事への復帰が叶わず、女としての魅力もキャリアウーマンとしての期待もない自分への肯定感は下がっていくばかり。 なんでも話せる中学の頃からの友人であるママ友は、同じように夫婦のセックスレスに陥りながらも、夫には内緒で不倫をすることで欲求を発散していた。倫理に反していると知りながらもその気持ちが分かるため、律子は夫とのセックスレスを解消するための正解がますます分からなくなっていく。はたして彼女は、この問題を解決できるのか――というのが本作のあらすじだ。